年間所得200万円も…弁護士はもはや負け組?

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弁護士はサービス業か?

 近年、弁護士たちの年代によって、目指す方向性が大きく異なっている。

写真はイメージです
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 超難関とされた旧司法試験をパスした50代以上のベテランだと、その立ち位置を問わず、〈法律家〉という意識で仕事をする弁護士が多い。これに対し、「新司法試験組」の20~30代の若手は〈サービス業〉であることを前面に押し出す。

 この方向性は、事件と向き合うスタイルにも大きく反映されている。50代以上の弁護士だと、民事事件ではできるだけ訴訟を避けようとする。示談交渉に力を入れ、原告・被告のどちらについた場合でも、円満な解決を目指す傾向がある。

 元裁判官の50代の弁護士は「民事の争いは結局、金額なのです。原告側であればできるだけ高額、被告側であればできるだけ低額の『解決金額』で落としどころを探って、早期の事件解決を目指します。自分が原告側の代理人(弁護士)なら被告側の立場、被告側の代理人なら原告側の立場も考え、広い視点で事件に向き合えば、訴訟に持ち込まなくても解決するものです」と語る。

 ところが今、若手弁護士の間には、こうした発想を持つ者は少なく、ベテランの意識とは大きな隔たりが生まれているようだ。

 ある30代前半の弁護士は「依頼者の感情に寄り添って、派手なパフォーマンスで相手を揺さぶる。それくらいやらないと顧客は喜びません。不倫事案なら内容証明郵便を自宅に送ります。慰謝料でもめているなら相手の勤務先に電話を入れることもあります。ただ、訴訟に持ち込んだなら、できるだけ早期に事を収めるようにします。裁判の回数を増やせば増やすだけ報酬が『割安』になりますから」と明かす。

 近年、増えてきたこういった発想の弁護士。しかし、派手なパフォーマンスとは裏腹に、実際にはなかなか事件を解決させることができないとの指摘もある。弁護士界では「相手方はもちろんのこと、自分の依頼者をも困らせてしまうことも頻繁にある」(ベテラン弁護士)との声をよく耳にする。

「非弁との不正連携」で処分者続出

 さらに、登記やある一定金額までの債務整理を行うことができる司法書士、官公庁に提出する書類作成の専門家である行政書士らとの連携が目立ってきた。

 債務整理の場合、対象となる債務額が140万円を超えると、弁護士に依頼する必要がある。司法書士など弁護士資格を持たない者がこのような依頼を受けた場合、顧客を弁護士に無料で紹介し、自らが事件処理に関わらなければ問題はない。しかし、最近は弁護士資格を持たない者が処理に関わるケースが目立っているという。

 例えば、司法書士が弁護士に謝礼を渡して名前を借り、司法書士自らが処理を行う。これは弁護士ではない者が弁護士業務を行う「非弁行為」で、司法書士と弁護士の双方が懲戒処分対象となる。こうした取引は、司法書士や行政書士、多重債務者を救済するNPOなどと弁護士との間で行われることが多くなっており、年々、処分者は増えている。

 特に、営業力のある司法書士や行政書士、NPO関係者には、営業力に乏しく「食えない」弁護士を取り込んだうえ、弁護士業務を行う者もいるという。この問題に詳しい弁護士によると、司法書士らが弁護士に事務所のスペースを提供したり、広告費という名目で毎月一定額の謝礼を渡したりして、実質的に弁護士を「利用している」ケースもかなりあるそうだ。

 元兵庫県弁護士会長の武本夕香子弁護士は、「自動車の運転に例えると、無免許運転のドライバーが免許保持者を助手席に乗せて車を走らせているのと同じ」と説明。「弁護士という職務の独立性を妨害することになります。弁護士が他人の言いなりになって事件処理に関わることは司法をゆがめかねない。最後には市民が困ることになるでしょう」と警鐘を鳴らす。

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15408 0 深読み 2018/04/05 07:20:00 2019/01/22 16:02:11 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180403-OYT8I50057-T.jpg?type=thumbnail

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