インバウンド、聖地、秘境…でも「がっかり観光地」
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作為的な施策はリスク

東京23区の東側、いわゆる「下町」やその周辺エリアは、地方の市町村と違い、特別な観光プロモーションはされていない。にもかかわらず、多くの観光客を集めるのはなぜだろう。
例えば、上野
御徒町のとんかつ屋は外国人に人気だ。ここの店長は「英語メニューを作った以外は、特別なことは何もしていない」と言う。観光客向けの特別なメニューを用意する飲食店などもあるが、地域住民がいつも手軽に食べられるものを味わえるのが何よりの魅力となっている。
「ありのまま」でいる。この簡単なことが意外に重要だ。上野界隈は特別だと思われるかも知れないが、ここも20年前は都内でもひなびた観光地だった。外国人観光客がその「面白さを発見」してくれたことが大きい。
観光で地域振興を考えるなら、あまり作為的な施策はかえってリスクを招きかねない。
多くの自治体が「観光立県」をうたっている。しかし、観光振興という聞こえのいい地域活性化策に、どうしても東京の旅行会社や広告会社の思惑が透けて見える。観光客を受け入れる土壌が地域に育まれているのか。観光地として求められているのは何か。
自治体の観光担当者は観光客の気持ちを知るために、まず自らが数多くの地域へ旅に出かけてみることだ。




