秋田「人食いグマ」3頭生存か 他の5地域も警戒を

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同様の事件が危惧される5地域

クマによる重大事件が危惧される5地域
クマによる重大事件が危惧される5地域

 事件が起きた熊取平と田代平では、今年も5月1日から11月まで、市道2本と林道が閉鎖される。この入山規制により、山菜採りの人たちは監視や指導がそれほど厳しくない、事件現場周辺の青森県新郷村迷ヶ平、青森県田子町四角岳、秋田県小坂町の十和田湖外輪山の南側などに集中するようになるだろう。このエリアも危険地帯なので、十分に注意してほしい。

 事故の発生傾向からみると、この秋田県鹿角市周辺以外でも、クマによる事故が連綿と続く地域が、東日本に少なくとも5か所ある。このような地域には、攻撃的なクマの系統が存在するのではないかと考えられる。注意を促す意味も含め、概要をお伝えしたい。

〈1〉鹿角市に接する旧田沢湖町玉川(現・仙北市田沢湖玉川)地区

 昨年5月27日に61歳の女性が襲われ、死亡した。襲ったクマは、秋田県の捕獲調査から判断して、生き延びているとみられる。この件は、食害もない偶発的な事故だが、現場は私が以前から、重大事故が発生する恐れがあるとして注意を呼びかけていた地域だった。

 発生場所は国道341号の最高標高地点で、周囲は残雪に覆われているが、この地域だけが火山性の地熱のため雪が早く消え、クマが好むタムシバ(コブシに似たモクレン科の木)が密に繁茂し、タケノコも早く出始めるからだ。私が秋田県庁に在職していた1983年6月24日に、この場所から近い旧田沢湖町大深沢でタケノコ採りの女性(当時48歳)がクマに襲われて死亡。遺体は「顔面挫創、両上肢の広範な挫滅創」を負っていた。

 襲撃されたときに、同行の男性2人は木に登って助かっている。その後、トドマツの上で40キロの雌グマが射殺され、胃の中から人間の肉片や女性の着ていたシャツが見つかった。ただ、この雌グマはまだ小さく、女性を殺害したクマは別の大型のクマだったのではないかと私は推測している。

〈2〉青森県田子町東部

 13年10月24日、田子町遠瀬の四角岳でキノコ採りの男性(当時56歳)が体長1メートルのクマに襲われて重傷を負い、ヘリコプターで搬送された。この若いクマは攻撃性が際立っていた。その後、昨年5月30日にも、同じ田子町遠瀬で男性(当時47歳)が体長約1メートル50のクマに襲われ、全身を引っかかれて足を骨折している。この2例は同一のクマの可能性がある。

 十和利山クマ襲撃事件の発生原因を探るべく多数のタケノコ採りの人たちから事情を聞いたが、田子町東部では危険なクマとの遭遇事故が続いていたことを知った。タケノコ採りの合間に座ってパンを食べていると、クマが20分もの間、近くに居座って離れなかったという事例が2件あった。食料の入ったリュックサックが消えたり、クマと引っ張り合いになったりしたケースも5例あった。

〈3〉秋田県・鳥海山北麓

 この地域では過去3件の死亡事故が発生し、うち2件では食害を受け、もう1件も食害の疑いがある。

 1993年5月29日に旧由利町東由利原(現・由利本荘市)でワラビ採りの女性(当時64歳)が後頭部挫傷で発見され、背中、ふくらはぎがかみ取られていた。2000年6月3日には旧矢島町鳥海山(現・同市)の山林で、タケノコ採りの男性(当時62歳)が全身に爪痕がある状態で発見された。遺体の周辺にはクマの足跡が多数あった。07年6月13日、にかほ市象潟町小滝でタケノコ採りの男性(当時63歳)が全身をクマにかまれ、右足は切断された状態で見つかった。そばにいたクマに向け猟友会員が発砲したが、クマは逃走した。

〈4〉福島県・会津地方

 会津地方では、2001年から16年までの間に計72件のクマによる人身事故が発生。このうち、5件が死亡事故という非常に危険な地域だ。特に、会津美里町西本の明神ヶ岳(みょうじんがたけ)東面では、1頭のクマによる「一撃多殺」事故が起きる恐れがある。最近では、13年5月27日に山菜採りの男性(当時78歳)が襲われて死亡。翌28日に捜索隊の警官2人を含む4人が、遺体のそばにいたクマに襲われ、重軽傷を負う事故が起きている。遺体には食害があった。

 明神ヶ岳周辺では、クマによる事故がこれまでに6件発生。昨年5月2日には同町松岸地区の山林で山菜採りをしていた男性が、遭遇したクマに襲われて近くの沢まで約10メートル引きずられ、右足をかまれて重傷を負う事故があった。この二つの事故は、同一のクマによる可能性が高い。

〈5〉新潟県と長野県にまたがる妙高高原地域

 20世紀末から、新潟県の旧妙高高原町と旧妙高村(ともに現・妙高市)、隣接する長野県信濃町ではクマによる事故が多発している。特に、女性や女性を含む家族が襲われ続けたが、2004年に「150センチ、157キロの雄グマ」が射殺されてからは事故が減少した。ただし、危険性は残っており、十分な警戒は必要だ。

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無断転載禁止
21312 0 深読み 2018/05/11 15:00:00 2019/01/22 16:05:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180511-OYT8I50003-T.jpg?type=thumbnail

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