秋田「人食いグマ」3頭生存か 他の5地域も警戒を

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山菜採りシーズンの注意点

 これから本格化する山菜採りシーズンの注意点として、まずは、クマと遭遇しないようにすることを挙げたい。事前に入山地域のある市町村のホームページなどからクマの出没情報を入手し、入山するかどうかを判断してほしい。

 山間地では携帯電話が通じない場所も多く、複数の人が組んで入山し、互いに助け合えるようにしたい。現地でクマの(ふん)や足跡、食べた跡などを見たら、無理をせず、すぐに下山することだ。これまでのさまざまな事例からみて、日本海側でのタケノコ採りではラジオの使用はやめたほうがいい。太平洋側では年間を通してラジオは効果があるだろう。他に、釣り鐘型の鈴、爆竹、ロケット花火も有効だ。

 クマに襲われたときには、「首をガードして地面に伏せる」ほうがいい。

 ザック、スコップなど振り回せるものがあれば、振って体が大きくなったように見せるのも手だ。

道具として最も効果がある「クマ撃退スプレー」
道具として最も効果がある「クマ撃退スプレー」

 最も効果がある道具は、トウガラシの辛み成分の濃縮液を噴霧する「クマ撃退スプレー」だ。アメリカ人女性が考案した、クマにも人間にも安全性が高い道具だ。発射したら、ただちに現場から脱出することだ。私はクマに襲われたとき、4回使用したが、露出した皮膚が30分ほどひりひりする程度で、呼吸困難はなく、目にもまったく影響がなかった。知り合いの新聞記者は、大きなクマに2メートルの至近距離から襲われそうになったが、このスプレーを使用し、撃退した。「クマ撃退スプレー」は登山用品店やインターネット通販などで簡単に入手できる。クマが出没する危険性のある山に入山する際には、ぜひ携行してほしい。

 秋田県では、2016年度に476頭、17年度には前年度の1.7倍にものぼる834頭のツキノワグマが捕獲・駆除(捕殺)された。秋田県のように、不幸にして死亡事故が発生するとクマの過剰な駆除が起きる。「農家を助け、クマも助ける」活動を行ってきた私には、人に被害が出たことにも、クマの過剰駆除が起きたことにも胸が痛んだ。

 十和利山クマ襲撃事件の発生後、2年間を費やして、事件の全容を見極めようと関係者の聞き取り調査とクマの追跡調査を続けてきた。このほど、後世にこの事件を伝えるべく、『人狩り熊』(つり人社)としてまとめ、出版することができた。被害者の家族がいま、どのような状況に置かれているのかを、ぜひ知ってほしい。協力いただいた多くの関係者に、お礼を述べたいと思う。

プロフィル
米田 一彦( まいた・かずひこ
 1948年、青森県十和田市生まれ。秋田大学教育学部卒。秋田県庁で鳥獣保護や自然保護行政に携わった後、フリーのクマ研究者になる。2001年、NPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)を設立し、現在、理事長を務める。著書に『ツキノワグマを追って』『山でクマに会う方法』『熊が人を襲うとき』などがある。

『人狩り熊』(つり人社)
『人狩り熊』(つり人社)


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21312 0 深読み 2018/05/11 15:00:00 2019/01/22 16:05:13 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180511-OYT8I50003-T.jpg?type=thumbnail

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