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セブン、MONO…「色だけで商標」の魅力と高い壁

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色彩商標、「色の組み合わせ」が狙い目?

三井住友フィナンシャルグループが銀行の店舗などで使用しているツートンカラー(独立行政法人・工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォームより)
三井住友フィナンシャルグループが銀行の店舗などで使用しているツートンカラー(独立行政法人・工業所有権情報・研修館の特許情報プラットフォームより)

 さて、色彩商標で登録済みの4件のうち残りは、三井住友フィナンシャルグループが銀行の店舗などで使用しているツートンカラーの2件だ。2件を出願し、今年2月に商標として認められたのは示唆に富んでいる。単色では商標の認定が難しくても、色の組み合わせで企業イメージをアピールし続け、消費者や取引先などに瞬時に分かってもらう「識別力」を勝ち得ると、商標権の獲得に近づく――と言えそうだ。

 世界的に、単色の商標は認められにくい傾向にあるとも言われる。ハードルの高い単色で商標を狙わずに、多色の組み合わせで実績を積み、商品や自社ロゴの識別力を幅広く向上・定着させていくことは、回り道なようで実現への近道かも知れない。企業各社の工夫が求められるところだ。

 新商標は、色彩や音を通じて自社の商品やサービスを消費者にアピールしようと戦略を練る企業だけにかかわる問題ではない。確かにセブン―イレブンやトンボ鉛筆は、もともと知財マインドが高い企業として知られ、商標、意匠、特許の取得に力を入れている社風が名高い。一方で、多くの企業に求められるのは、他社が新商標に登録している事実を知らずに使い、意図しない権利侵害を起こしてしまうリスクを未然に防ぐことだ。消費者も無関心ではいられない。模倣品や偽造品を知らずに買ったりしないよう、商標など知財の重要性を再認識しておきたい。

 企業各社は自らの商標権の取得する「攻めの姿勢」とともに、何が権利化されているかチェックして「守りの態勢」を整えることが大事だ。さらに言えば、商標に限らず、特許、意匠も含めて、社内全体で知財利活用を推進する体制作りが求められている。これは大企業のみならず、中堅・中小企業すべてに共通する課題だ。

 また、企業は悪意のある商標出願も警戒しなければならない。特に企業活動のグローバル展開に伴い、商標を活用するブランド戦略はますます重要になっている。一方で、ある企業の商標がその国・地域で登録されていない事実を利用し、全く関係のない企業や個人が、先回りして不正目的で商標を出願するようなケースもある。油断は禁物だ。

 久光製薬、セブン―イレブンなどは、日本で新商標が認められる前から海外での新商標取得を先行させていた。今後日本で新商標を取得する企業は、同時に海外での取得にも力を入れ、世界ブランドで稼ぐ力を高めていくことが重要になる。色彩だけでなく、新商標を利活用する企業がさらに増えることを期待したい。


プロフィル
野坂 雅一( のさか・まさいち
 読売新聞調査研究本部研究員。1981年入社。経済部、ワシントン特派員、論説委員、論説副委員長、調査研究本部総務などを経て、2018年2月から現職。政府税制調査会委員や、内閣府の知的財産戦略推進本部検証・評価・企画委員会委員などを歴任している。

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21581 0 深読み 2018/05/14 11:00:00 2018/05/14 11:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180511-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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