米朝首脳会談、北朝鮮のワナにかからないためには

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リビア方式からトランプ方式へ

トランプ米大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長が映し出されたテレビ画面を見つめるソウル市民(AP)
トランプ米大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長が映し出されたテレビ画面を見つめるソウル市民(AP)

――米朝首脳会談で非核化を巡る話し合いはどんな展開になると見ているか。

 「北朝鮮は同時的、段階的な非核化を主張している。非核化の段階に応じて見返りを与えるというものだ。この点は米国も譲歩しそうな雰囲気が出ている。ボルトン氏らが言っている『リビア方式』とは完全非核化の後に見返りを与えることだが、トランプ大統領はそれを否定した。代わりにホワイトハウスは最近、『トランプ方式』ということを言い出した。

 細かく段階を区切ってそれぞれ見返りを与えるというのではなく、2段階ぐらいに大きく区切って見返りを与えるというものだ。例えば、1段階目で北朝鮮が完全非核化に合意して日程表を作り、核施設の申告をして強制査察を受け入れる。それに対して、米国はテロ支援国家の解除などをするといった具合だ。途中で何も与えないのとは違う。

 中国からの支援が見込めそうな状況で、北朝鮮が米国から取れるものは取りたいと考えれば、これに乗ってくる可能性はある。最後まで何もしないリビア方式には同意したくない。なるべくなら、同時的、段階的に細かく段階を区切って、その都度見返りを得たいのだが、米国となかなか折り合いがつかないのであれば、『トランプ方式』しかない。

 ただ、一つ忘れてはならないのは、北朝鮮は持っている核を絶対放棄したくないと考えていることだ。これから作る核兵器、今ある核施設や核兵器を作る能力、そういったものをなくすことには同意する。しかし、これはいくらでもごまかせる。例えば、核技術者200人を国外に移住させるとか言っているが、技術者と称して労働者を出しても外の人間にはわからない。

 4月20日に開かれた朝鮮労働党の党大会で決定した通り、世界の非核化に合わせて軍縮会談のような場でゆっくり話し合いたいというのが彼らの政策目標だ。例えば、核兵器を48個持っていたとしたら、そのうち20個を米国に移す。米国に対しては非核化したとごまかし、残る28個をどこかに隠し、明確な核保有国ではないけれど、あいまいな核保有国としてふるまう可能性がある。

 強制査察を貫くというのは、その意味でも大切だ。1年後でも2年後でも疑いが生じればすぐに強制査察ができるような約束を取り付けなければならない。同時に軍事オプションも、できるだけ長く残しておくことが大切だ。そうでないと、北朝鮮という国は全くコントロールが効かない」

プロフィル
李 相哲( り・そうてつ
 龍谷大学社会学部教授。1959年、中国・黒龍江省生まれ。北京中央民族大学卒業後、中国の日刊紙記者を経て87年に来日。95年、上智大学大学院文学研究科新聞学専攻で博士号(新聞学)取得。同大学国際関係研究所客員研究員などを経て98年、龍谷大学社会学部助教授。2005年より現職。主な著書に『朴槿恵<パク・クネ>の挑戦 ―ムクゲの花が咲くとき』(中央公論新社)、『金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』(産経新聞出版)などがある。

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