トランプ氏が苦手なタイプ、金正恩氏との心理戦

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心理戦にたけた金委員長

金正恩朝鮮労働党委員長(右)と握手するポンペオ米国務長官。朝鮮中央通信(KCNA)が5月10日に配信した写真=ロイター
金正恩朝鮮労働党委員長(右)と握手するポンペオ米国務長官。朝鮮中央通信(KCNA)が5月10日に配信した写真=ロイター

――それまで素直に話し合いに応じる姿勢を見せていた北朝鮮が、5月16日になって会談を再考すると言い出すなど、確かに北の行動は予測不能だ。

 「途中で見返りを与えない非核化の『リビア方式』を主張するボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の前で、トランプ氏がリビア方式を適用しないと言ったり、北朝鮮の体制保証に言及したりしたところに、トランプ氏の驚きが表れていた。

 金委員長が今年に入ってやったことは、軍事攻撃を受けないために環境を整えることだ。

 一つ目が4月の南北首脳会談。韓国との間の融和ムードを世界にアピールしたことで、米国がそれに水を差すような軍事攻撃はやりにくくなった。二つ目が今月の電撃訪中。大連で習近平(シージンピン)国家主席と中朝首脳会談に臨み、一緒に海岸を歩きながら親密な関係を強調。北朝鮮の後ろに中国がいることをはっきりと示した。

 金委員長は非常に心理戦にたけている。現状では、金委員長の方がペースを握っていると言えるのではないか」

日程的な弱みを抱えたトランプ氏

――トランプ大統領は守勢に回っているということか。

 「トランプ氏には弱みがある。まず、6月12日という会談の日程を高らかに発表したのがトランプ氏自身であることだ。5月22日の米韓首脳会談前の記者団とのやりとりの中で会談延期の可能性に言及したが、本当に延期や中止ということになれば、トランプ氏のメンツは丸つぶれ。米国民には交渉の失敗者と見られ、取引の達人というブランドにも傷がつく。もちろんノーベル平和賞の可能性は吹っ飛ぶ。

 もう一つ、6月12日と日にちを決めたことが、交渉の期限を区切ったのと同じことになってしまったことだ。かつて、オバマ大統領がアフガニスタンから米軍を撤退させる時に期限を設定した。その時トランプ氏は、オバマ氏は交渉を知らないのかとわらった。期限を明示すれば相手につけ入るスキを与える。金委員長は6月12日まで好きなだけ心理戦が展開できるということだ。

 今後の政治日程もトランプ氏の弱みになっている。今年11月6日には中間選挙、2020年11月3日にはトランプ氏が再選を目指す大統領選挙、21年1月20日には大統領の就任式がある。この日程は動かすことができない。

 トランプ氏は北朝鮮に『完全かつ検証可能で不可逆的な』非核化を求めている。いわゆるCVIDだ。この中の『V』(Verifiable=検証可能な)は中間選挙と大いに関係がある。この日までにトランプ氏は有権者、もっと言えば自分の支持者に、北朝鮮の核施設を『検証可能』な状態で非核化したところを映像で見せたいと考えているはずだ。

 また、20年の選挙は、投票前のテレビ討論会で、民主党のライバル候補に対して、自分は外交・安全保障に強い大統領だというメッセージを発信したいと考えているだろう。そうするためには、テレビ討論会の前に北朝鮮問題にめどをつけなければならない。

 計算通り進んでいなければ、トランプ氏はあせる。金委員長からすれば、そこで果実、つまり見返りをたくさん取れるということだ。

 大統領再選を果たせば、当然、2期目の就任式の演説で北朝鮮問題を実績として盛り込みたいと考えるだろう。そこでも金委員長は果実を期待できる」

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23200 0 深読み 2018/05/24 13:12:00 2018/05/24 13:12:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180524-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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