トランプ氏が苦手なタイプ、金正恩氏との心理戦

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金委員長に有効なカードとは

トランプ米大統領(左)と金正恩委員長。6月12日の米朝首脳会談を前に駆け引きが活発化している(AP)
トランプ米大統領(左)と金正恩委員長。6月12日の米朝首脳会談を前に駆け引きが活発化している(AP)

――トランプ氏は厳しい状況で会談に臨むことになりそうだが、交渉で金委員長に対して効果を発揮しそうなカードは何か。

 「トランプ氏の持っているカードは、一つは体制保証、もう一つは国交正常化、それと経済制裁の緩和というものだ。ポンペオ国務長官はすでに1枚カードを切っている。民間の投資で電力インフラの整備が可能だとか農業支援の可能性に言及した。こういう経済関係のカードは、金委員長にとって大きなニンジン、つまり有効なカードになると思う。

 金委員長は核・ミサイル開発と経済発展の両方を追求する並進路線でやってきたが、核・ミサイルの開発は進んだのに、経済を発展させることができていない。そこで、これからは経済に集中するという宣言をした。

 しかも、金委員長は父親の正日氏とは違う変革のリーダーを目指している。正日氏は中国モデルを嫌っていたが、金委員長は明らかに興味を持っている。体制を保ちながら経済を発展させた習近平体制は、いいモデルになると考えているのだ。

 金委員長にしてみれば、本当は今すぐニンジンが欲しい。だが、今は心理戦の最中なので、ぎりぎりになるまで手を出さない。今、手を出すとせっかく優位に立ったのに、互角に戻ってしまう。最大限の圧力をかけられたので、最大限の果実をもぎ取ろうとしているのだ。トランプ氏にとって、形勢挽回のカードになりそうなのは、やはり経済だ」

プロフィル
海野 素央( うんの・もとお
 明治大学教授。米国国際大学(現アライアント国際大学)博士課程修了。専門は異文化間コミュニケーション論・異文化ビジネス論。現在はトランプ米大統領のコミュニケーションスタイルを研究している。主な著書に『オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略』(2013年、同友舘)、『リスクと回復力―東京電力福島第一原発事故から学ぶリーダーシップ』(11年、同)などがある。

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