米老舗ギターメーカー、ギブソン経営破綻の背景

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音楽コンテンツ市場は「右肩下がり」だが…

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 ギブソンの戦略が失敗した背景には、音楽産業全体の「構造の変化」が大きく関係している。

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 世界の音楽コンテンツ市場(CDやDVD、音楽配信売上など)は急激に縮小している。国際レコード産業連盟(IFPI)によると、ピークを記録した1999年に約252億ドル(約2兆7700億円)だったが、2017年には約146億ドル(約1兆6000億円)まで減少した。

 日本でも同様だ。98年の約6075億円をピークに年々縮小、17年は約2893億円と半分以下に落ち込んだ。

 近年、「Spotify(スポティファイ)」や米アマゾンの「Prime Music(プライムミュージック)」など、手ごろな価格で音楽を楽しめる「定額制音楽ストリーミングサービス」の利用者が増え、YouTube(ユーチューブ)では有名アーティストのミュージックビデオ(MV)などのコンテンツが無料で視聴できるようになった。市場の縮小は必然といえる。

一方、「ライブ市場」は活況

 一方、同じ音楽産業でも右肩上がりの成長を続けているのが、ライブやコンサートなどの「ライブエンターテインメント市場」(以下、ライブ市場)である。

 コンサートプロモーターズ協会によれば、国内のライブ市場は、CDやレコードなどの「音楽パッケージ」の市場がピークを記録した1998年の約711億円から、2017年には約3324億円まで急拡大した。世界のライブ市場も同様に拡大傾向にあり、16年には約250億ドル(約2兆7500億円)の規模になった(米ビルボード社による推計)。

 このデータから、音楽ファンにとっての「価値」が、CDなどで音楽を楽しむ「モノ消費」から、ライブで直接音楽を体感する「コト消費」へと変化していることがわかる。その背景には、さまざまな体験や感情を人とシェア(共有)する、フェイスブックやインスタグラムなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が普及した影響もあるだろう。

 このように、音楽産業が形を変える中、ギブソンはオーディオメーカーなどのM&Aを強力に推し進め、「モノ」の販売拡充を狙う戦略をとった。これは「コト」を重視するファンの求める価値やニーズとは逆だったのではないか、と筆者は見ている。

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