地震後の流言、繰り返されるのにはワケがある

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災害時における人間の心理

大阪北部地震が発生した後、線路を歩いてJR大阪駅まで移動する人たち。災害時にはいつもと違う心理状態になる(18日午前9時52分、大阪市北区で)
大阪北部地震が発生した後、線路を歩いてJR大阪駅まで移動する人たち。災害時にはいつもと違う心理状態になる(18日午前9時52分、大阪市北区で)

 学校で避難訓練をした時、「おしゃべりはするな」と教えられた人も多いでしょう。本当に地震があって避難する時におしゃべりをしたら、先生の指示が聞こえないし、そもそも、そんな時に楽しい話をするわけがない。

「ゴミ屋敷」問題はなぜ片付かないのか

 「家はどうなっちゃたんだろう」「お父さん、お母さんが死んじゃったかも」みたいな話になるかもしれない。これを流言とまでは言いませんが、不安になって泣き出す子、走り出す子が出てきたら困るので、「黙って静かに、先生の後についてこい」なんですね。

 避難所でおしゃべりを禁止するわけにはいきません。人は不安な時、だれかと一緒にいたいし、不安であることを表現したいものです。むしろ、怖いなら怖い、悲しいなら悲しいと表現した方が不安は和らぎます。抱き合って、「ああ怖かったねえ」「私も本当に肝を冷やしたよ」みたいなレベルだといいのですが、そこでストーリーを語り始めてしまうと、横で聞いている人が確かな情報だと感じてしまって、どんどん大きな話になったり、具体化されていったりします。そうやって「佐渡は何か大変なことになったらしい」という話が、「沈んだ」という流言のもとになってしまうのです。

ネットの発達、増す危険性

座り込んでスマホを見ながら電車の運転再開を待つ人たち。ネット上には様々な情報があふれている(18日午後2時1分、大阪市北区で)
座り込んでスマホを見ながら電車の運転再開を待つ人たち。ネット上には様々な情報があふれている(18日午後2時1分、大阪市北区で)

 人間は自分が知ったことを伝えたいという伝達欲求がありますが、ネット時代になって、それがさらに増しています。写真や映像が自由に送れる時代になり、「見て、この写真」ですから、インパクトは大きい。

 有名な芸能人を「●●で見た」とツイッターでつぶやくだけで人がわーっと集まるようなことが実際に起きているので、情報が一気に広がる危険性はネットがなかった時代の比ではありません。

 しかも、ネットで情報を発信するのは、大手メディアや政府ばかりではありません。悪意を持った人や、愉快犯的な人も一緒にうごめいています。昔から情報を持っている人は強者とされてきました。ネットの世界では、なおさらそうです。

 「俺はみんなが知らないことを知っている」という状況で、人は自分が力を持っているという感覚を味わうことができます。そんな時に人を混乱させて楽しむのは簡単。それが素晴らしいと評価する風潮さえあります。「うまい釣り(人を引っ掛けること)だ」「釣られる方がバカだ」と。今までのメディアではありえない発想です。

 災害時、情報を得たいと思う欲求は高まります。そんな中で、悪意を持って情報を拡散したいという人と出会ってしまうと、熊本地震後に「ライオンが逃げた」というデマが広がった時のようなことが起きてしまいます。

 ネットは匿名の世界。人をだましたり、うそをついたり、悪いことがしやすい場所です。日頃満たされている人はいいのですが、そうでない人の中には、バイト先で悪ふざけをするとか、何かとんでもないことをしてウケたいと思っている人がいる。そうした人は災害時に、今なら情報が一気に広がると思うのではないでしょうか。

 「シマウマが逃げた」は、おそらく「ライオンが逃げた」のパロディーでしょう。本人はエープリールフールみたいな感覚でやったのかもしれません。

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