営業の殺し文句にご用心…賃貸住宅サブリース問題

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 「安定収入が得られます」「大事な土地、守りたいでしょう?」――。バラ色の収支予測に、感情を揺さぶる殺し文句。住宅メーカーが土地のオーナーに賃貸アパートの建設を勧め、関連の不動産管理会社などがそのまま借り上げて居住者に「又貸し」する「サブリース契約」。しかし、営業マンの甘い言葉に乗って建ててみたものの、借り手がつかないなどの理由から、契約を「途中解約」されるケースなどが相次いでいる。不動産業界に詳しいフリーライターの小野悠史さんが警鐘を鳴らす。

「相続税対策」の落とし穴……

写真はイメージです
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 「(家賃収入が変わらないなんて)約束しましたっけ?」

 東京都内の50代の男性アパートオーナーは、ある住宅メーカーの担当者から浴びせられたひと言に耳を疑った。

 この男性は、住宅メーカーの勧めで、母親が所有する都内の土地にアパートを1棟建築した。さらに翌年、同じ住宅メーカーの提案に乗る形で新たに土地を購入し、もう1棟建てた。どちらも住宅メーカーの子会社である管理会社とサブリース契約を結んだ。2棟あわせて2億円近い購入・建築費を銀行から借り入れていた。

 アパート建築は「相続税対策になるうえ、安定した家賃収入も得られる」と、住宅メーカーや銀行から言われ、安心しきっていた。しかし、2棟目のアパートが完成してから2年後、借り上げ家賃の減額を提案されるようになった。

 建築時に提示されていた条件なら、建築から契約期間の40年間は、家賃が変わらないはず。男性はそう思い込んでいた。

 「話が違うじゃないか!」

 抗議した時に、担当者から言われたのが冒頭の言葉だという。

住宅メーカーの「手のひら返し」

 元々、母親が持っていた土地は駐車場にしており、その経営で安定した収入があった。そこに銀行経由で賃貸住宅建築の計画を持ってきたのは住宅メーカー側だ。「私から家賃保証を無理強いしたわけではなく、住宅メーカーから条件として提示された」と男性は主張し、憤る。

 しかし、実際に交わした書面によれば、40年にもわたる借り上げ契約はいつでも見直しが可能で、折り合いがつかなければ管理会社側は契約を打ち切ることもできる。管理会社にとってかなり有利な内容になっており、経営計画と実態に大きな開きが出た場合も、全てオーナー側が責任を負うことに合意した形になっていた。

 追加で建築したアパートは、2年ごとに家賃の値下げを提案され、当初、1室あたり5万4000円だった家賃は、5万2000円に下げられてしまい、その後も値下げの提案が続いたという。男性は、ズルズルと家賃が下がり続ける恐怖から、建築から10年目になる一昨年にアパートを売却した。

 建築後に知り合った別の住宅メーカーの社員から「(追加で建築したアパートは)最寄り駅から徒歩で20分以上と遠い。単身者向けの間取りで作られた計画自体に無理がある」と指摘されたことも売却の決め手になった。

 初めはメーカー側から「一緒に経営しましょう」と誘われて決意したアパートオーナーの道。家賃の減額に納得できず、担当者に詰め寄っても「判例があるので、裁判をやってもらってもかまわない」と、冷たくあしらわれたという。

 最初に建てたアパートは、駅からも近く好立地にある。それでも昨年から家賃の減額を提案されている。亡くなった父親が残した土地で、売却も決断できず、悩ましい日々が続いているそうだ。

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