自己破産、生活苦…知らずに借りると奨学金は危険

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【その6】「繰上返還」で将来の負担を軽減

(画像はイメージ)
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 貸与型奨学金は、毎月お金を返還していく形になっていますが、まとまったお金を一度に返還(繰上返還)することができます。

 たとえば大学4年生がアルバイトに励み、まとまったお金ができたなら、在学中・卒業後を問わず繰上返還することで、その後の返還が楽になります。

 【第二種】で借りていても、大学在学中は奨学金に利息がかかりません(在学猶予)。だから、卒業前に繰上返還すれば、その分については利息を払う必要がありません。仮に、全額を繰上返還できたら、多額のお金を無利子で数年にわたって借りたのと同じになります。キャッシングで借りれば、年利10%超の利息負担となる時代に、これは破格の対応です。

 奨学金の返還開始の多くは、大学卒業した年の10月からですが、社会人になって4月以降の給料から、一足早く繰上返還するのももちろんOKです。【第二種】の場合、卒業後は利息が発生するため、10月からの返還開始を待たずに繰上返還するとその分だけ利息負担が少なくて済みます。

 というのは、現在の利息水準は非常に低いですが、この低金利がいつまで続くかは分からないからです。奨学金は4年間まるまる借りた場合、卒業時に利息がいくらになるか確定するため、今後景気が良くなって金利が上がれば奨学金に適用される金利もアップし、想定外に利息負担が重くなる可能性もあります。

【その7】延滞する前にまず相談

 JASSOなどの貸与型奨学金は“借金”の一種です。

 返還の延滞がおおむね3か月続くと、いわゆるブラックリストに載る可能性があります。つまり、信用情報にキズが付きます。

 これは、返還完了後5年間まで記録が残るので、当初の返還期間を25年とした場合、延滞によって50代の半ばまで社会生活に影響をきたし、住宅ローンの借り入れができないといった制約を受けるリスクがあります。

 「このままでは、返還が滞ってしまうかも」と思ったら、まずはJASSOの奨学金返還相談センター(電話0570・666・301)に相談をしてください。減額返還や返還期限猶予などの救済措置のアドバイスが受けられます。延滞金があると、こうした救済措置も受けられなくなってしまいます。

延滞者の2割が「返還義務を知らなかった」

 親の判断で奨学金を利用するなら、早めに子どもにその事実を伝えておくことが、後々のトラブルを回避する上でとても重要です。

 「仕送り原資が奨学金でまかなわれていたことを卒業してから知った。もっと早く言ってくれていればアルバイトのお金でどんどん返していたのに……」

 こんな愚痴をこぼす相談者もいました。

 親からの仕送りは使うだけ使って、アルバイトの収入でゆとりの大学ライフ――。こういう学生は意外と少なくありません。就職内定を得て時間に余裕ができると、アルバイトに励み、結構な収入を得る学生もいます。就職後の手取りの方が少ないという声もあります。こうした実情については、親子で認識の違いがあるようです。

 JASSOが発表している「平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果」によると、貸与終了後に返還義務を知ったという延滞者が2割を超えています。奨学金申請時の書類作成について、延滞者は「親が行った」が39.0%を占め、「本人」33.2%を上回っています。

 子どもが奨学金の返還を滞納することで、連帯保証人である親の暮らしも脅かされるリスクがあります。将来、奨学金を無理なく返せるように、借りる前に親がイニシアチブを取って、子どもと話し合ってください。

プロフィル
竹下 さくら( たけした・さくら
 ファイナンシャル・プランナー、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP(R)(国際ライセンス)。千葉商科大学大学院(会計ファイナンス研究科MBA課程)客員教授。大学卒業後、損害保険会社・生命保険会社に勤務後、FPとして1998年に独立、現在に至る。主に個人のコンサルティングを主軸に、講師・執筆活動を行っている。主な著書に『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など多数。

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