日産、究極のエコカーFCVをやめるって…なぜ?

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【理由1】水素ステーションの問題

設立記者会見に臨む日本水素ステーションネットワークの関係者ら(2018年3月、東京都千代田区で)
設立記者会見に臨む日本水素ステーションネットワークの関係者ら(2018年3月、東京都千代田区で)

 精密で繊細な燃料電池を量産するには、高度な生産技術の構築と生産管理などに手間と多額の投資が必要となる。

 MIRAIをいちはやく市販したトヨタも、当初は年間700台(60台弱/月)の規模からはじめ、ようやく年間3000台の水準に至った。2014年の発売当初に数千台の注文を受けたが、納車されるまで数年待つという状況は、一般のマイカー購入者にはちょっと考えにくいだろう。

 このような状況で、採算の見込みがない点は、ホンダの量産型FCVのクラリティ・フューエルセルでの取り組みにも表れている。ホンダは、FCV単独の採算性を危惧し、同じ車体でEVとプラグインハイブリッド(PHV)の三つの電動パワートレインを採用した。

 こうした背景には、FCV普及へ向け、水素を充填(じゅうてん)するステーションの整備がなかなか進まず、東京、大阪、名古屋、北九州などの都市圏でしかFCVの実用性がない状況にある。これは、「鶏が先か、卵が先か」というジレンマでもあるが、FCVの量産が進まなければ水素充填を必要とする利用者が増えず、利用者が増えなければ水素ステーションの拡充もできない。

 その結果、水素充填は不便だから、FCVを買い控えるという循環に陥ってしまう。

「解決策はまだない」

 打開策として、自動車メーカーやエネルギーメーカーなどが集まり、共同で水素ステーションを拡充しようという動きが起きた。それが、今年3月、トヨタ、日産、ホンダ、JXTGエネルギー、出光興産、東京ガスなど11社が設立した「日本水素ステーションネットワーク」(Jハイム)だ。今後4年間で80か所の水素ステーションを整備するとしている。その後、水素充填のセルフステーション実現へ向け、規制を緩和する動きも出ている。

 それでも、水素ステーションの拡充は容易ではない。その理由は、技術でも整備費用でも法規制でもない。水素ステーションが根本的に抱える基本要件による。

 水素供給利用技術協会(東京都)の説明によると、水素ステーションを一つ設けるには500平方メートルの広い土地が必要としており、しかも、安全性を確保するために、施設に天井を設けるのは不適切だという。つまり、土地の価格が高く、高層化による有効活用が求められる都市部では、水素ステーションを設置するのは難しい。

 Jハイム設立時の記者会見で、この点を問いただしたが、担当者は「解決策はまだない」と答えるのみだった。都市部で水素ステーションの数を増やす見込みが立たなければ、今後もFCVが販売台数を伸ばすことはまず不可能だ。

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32733 0 深読み 2018/07/12 08:20:00 2019/01/22 16:11:54 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180706-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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