北朝鮮の非核化、南北統一と分けては考えられない

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非核化を考えるのは南北統一の後

5月26日、板門店での会談を終え、抱擁を交わす北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と韓国の文在寅大統領(韓国大統領府提供、聨合ニュースAP)
5月26日、板門店での会談を終え、抱擁を交わす北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と韓国の文在寅大統領(韓国大統領府提供、聨合ニュースAP)

――米朝首脳会談後、米国メディアによって北朝鮮がひそかに核開発を継続しているのではないかという疑惑が報じられた。北朝鮮に「完全な非核化」の意思はあるのか。

 「米朝首脳会談では北朝鮮が非核化に同意するかどうか、世界が注目した。今回のポンペオ長官の訪朝もそうだ。この文脈でいえば、北朝鮮に非核化の意思は全くない。

 世界が抱いている見解は、『北朝鮮は体制の維持に汲々(きゅうきゅう)としていて、経済的にも苦しく、制裁と圧力が相当効いている。北朝鮮はまいってしまう寸前なので、国際社会が圧力を強める、あるいは少し緩めて助け舟を出せば、北がありがとうと言って、核兵器を捨てるに違いない』というものだ。しかし、これは誤解だと思う。

 そうではない。北朝鮮が完全な非核化をするのは、南北統一に向けていくつかの条件がそろった時だ。そうなって初めて、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は『核兵器の役割は終わった』と思うだろう。

 統一に向けて南北の関係改善が進み、北朝鮮は韓国と立場が対等以上で、核兵器を持っているのだから、もう少し北の立場を尊重した形での統一を望んでいる。

 その時、米国が軍事介入をするようなことがないように、ICBM(大陸間弾道ミサイル)を持っていますよと軍事力をちらつかせながら、北朝鮮主導で南北を統一する。そのための核兵器だ。金日成(キムイルソン)主席、金正日(キムジョンイル)総書記の時代と違って、韓国を恐怖に陥れ、ICBMで米国を脅しながら統一する必要がないと金正恩委員長が考えるようになったのは、韓国に(親北の)文在寅(ムンジェイン)大統領が登場し、北主導の統一が不可能ではないと思い始めているからだ。

 そのための条件として、一つは米国が韓国への軍事コミットメントを少しずつ小さくしていくこと。休戦協定を平和協定に変えるということもあるし、その先におそらく在韓米軍の縮小や撤退という話が出てくるだろう。

 もう一つは南北関係が改善されて、核兵器を統一のために使うぞと言う必要もないくらいに、文大統領が北朝鮮と仲良くし、核兵器をちらつかせる必要はないという状況になった時。そうなれば核兵器を少しずつ廃棄しても問題はない。

 ほかに、こうしたシナリオを中国とロシアが後ろでサポートしてくれるかどうか。米国の軍事プレゼンスを遮断した上で、南北が仲良くなる。できれば分断されていたほうがいいと、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領は考えるだろうが、統一されて困るとは誰も言えない。米国の軍事介入の可能性をなくした上で統一に向かうのであれば、中国、ロシアはサポートするだろう。

 こうした条件が全部そろって、統一を果たせば、最後に『核兵器はいらなくなったね』と言う可能性はある。それぐらいずっと後の段階のことだ。

 制裁が継続し、米朝の首脳が会談し、南北の対話が進むというプロセスも含めて、全てのプロセスの最後の出口のところに、非核化、核兵器の放棄を持ってこざるを得ないとトランプ米大統領が悟ったのが6月12日だった。

 だから、完全な非核化はあるのかないのかと問われれば、最後にはありうる。けれども、国際社会が思っているような外交的な駆け引きとか、北朝鮮の説得とか、制裁と圧力の強化で完全な非核化に至るということはない。統一のための核兵器だったのだから、統一するまでは捨てないということ。

 さらに、統一した時に必ず核を捨てるのかというと、それはまた別の問題だ。お隣の中国は核を持っているし、日本も核武装をする可能性があると理由をつけて、統一コリアが最後に核を捨てないと宣言する可能性の方が高いと思う」

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31564 0 深読み 2018/07/10 11:51:00 2019/01/22 16:09:43 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180710-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

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