コンビニのレジからあのボタンがなくなったワケ

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客層ボタン存続、廃止…各社の思惑は?

 「客層ボタン」はレジ上の比較的目立つ位置にあるため、店員が押しているのを見たことがある人もいるでしょう。今回のレジ刷新では、ローソンとファミマは客層ボタンを廃止したのに対し、セブンは残し、大手3社で対応が分かれました。

 店員が客の見た目で年齢などを判断し、商品を精算し終えたタイミングで客層ボタンを押します。押さないと会計を終えられない仕組みで、各社は、ここから得られる情報を、店舗の品(ぞろ)え改善などに役立ててきました。

ローソンの新型レジ。タッチパネルのみで操作できるようにした(ローソン提供)
ローソンの新型レジ。タッチパネルのみで操作できるようにした(ローソン提供)

 しかし、ローソンやファミマでは店員が押した客層ボタンの“正解率”の低さが課題にあげられており、ファミマの自社調査によると、正解率は2~3割程度と店舗運営に役立てるデータとしては心もとないものだったようです。(なぜ“正解”とわかるかについては後述します)

 年代の分け方も課題になっているようです。コンビニ各社の来店客に占める50歳以上の顧客の割合は3~4割に達しています。そもそも働き盛り、子育てもまだ半ばという人が多い50代の人と、年金生活に入っている人が大半の70代の人の購買傾向には差があるのが実情です。それが、客層ボタンではひとくくりにされてしまいます。それでは、客層ボタンによって得られるデータの活用は限定されてしまう、といえるのではないでしょうか。

 ローソンは共通ポイントカード「Ponta(ポンタ)カード」の利用率が、来店客の5割程度と高いそうです。客層ボタンより精度の高い、会員番号や性別、年齢などのデータをもとにした客層や購買動向の分析ができる、と判断したようです。

ファミリーマートが刷新したレジ(ファミリーマート提供)
ファミリーマートが刷新したレジ(ファミリーマート提供)

 ファミマも同様に、来店客の4~5割が利用している共通ポイントカード「Tカード」の情報から、顧客の属性を把握しており、Tカードのデータと比較した客層ボタンのデータの精度が低かったことも、廃止の判断理由の一つとなったのかもしれません。

セブン-イレブンの新しいレジ。中央部分に年齢ボタンを残した(セブン&アイ・ホールディングス提供)
セブン-イレブンの新しいレジ。中央部分に年齢ボタンを残した(セブン&アイ・ホールディングス提供)

 一方、客層ボタンを残したセブン。その代名詞とも言われる「単品管理」(一つひとつの商品の売れ行きを分析、品ぞろえを限りなく顧客の要望に近づける手法)の核となるのは、店舗単位の綿密な受発注計画です。

 今後も客層ボタンで得られた顧客の属性情報に、全国で計6136万枚(18年5月末現在、モバイル会員を含む)発行したセブン&アイグループの電子マネー「nanaco(ナナコ)」に登録された顧客データを掛け合わせ分析することが、単品管理だけでなく、商品開発や販売促進(販促)にも最適と判断した、と筆者は見ています。

データ活用で「ヒット商品」誕生?

 コンビニ各社は、ポイントカード会員の購買履歴や属性情報を活用し、商品開発や販促、店舗の品揃えにつなげることで、売り上げアップを図ってきました。各社、会員カードなどの利用率がアップしたことで、獲得した顧客データの重要性がより高まっています。

 「誰が、いつ、何を、どのくらい買ったか」というデータを蓄積できることが、客層ボタンだけでは取得できない「共通ポイントカード会員」情報の大きな価値です。このデータは、顧客のニーズに合わせた商品の調達や廃棄率(仕入れた弁当などを廃棄する比率)の抑制にとどまらず、商品開発や販促、売り場づくりなどコンビニの業務に幅広く生かすことができます。

 顧客データをうまく活用した事例として、ローソンの「ブランパン」のヒットがあります。

 ブランパンは糖質を抑えた健康志向のパンで、12年の発売当初、1店舗当たりの仕入れ数が少なかったこともあり、売り上げはそれほど大きくありませんでした。しかし、ポンタカード会員の購買データからリピート(再購入)率が約5割と非常に高いことがわかり、それを店頭での宣伝など売り場づくりに生かすことで、16年度には約6000万個を販売する大ヒット商品に成長したのです。

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32923 0 深読み 2018/07/18 07:00:00 2018/07/18 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180717-OYT8I50008-T.jpg?type=thumbnail

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