もはや瀕死?「日の丸家電」は復活できるか

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パナソニックに変化の兆し

 例えば、パナソニックの家電作りは変わり始めている。

サムスンの牙城・韓国を攻める家電メーカーとは

 家電部門の社内分社「アプライアンス社」は、エアコンからテレビ、オーディオまで白物、黒物を問わず、多彩な製品を展開、比較的安定した利益を上げつつある。

 当面は「現時点でもうかっている製品」で引き続き着実に利益を上げる方針だ。しかし、そういった製品が今後、長期的に利益を上げ続けるとは決して考えず、常に変化を求め続けていく必要があると考えているようだ。

 その「先兵」ともいえるのが、「(組織を)エッジ(端)から変えていく」という方針のもとに作られた「ゲームチェンジャーカタパルト」というプロジェクトだ。

 これまで、日本の大手メーカーはリスクを取らず、一定以上の売り上げを見込める製品でなければ販売しないのが常だった。経営層からも意見を集め、吟味に吟味を重ねて作り上げた「完璧」な製品を発売してきたのだ。

パナの目指す“カデン”とは?

 一方、カタパルトは、パナソニックブランドを当てにせず、発売してもすぐに売れないことを覚悟のうえ、「速攻」で製品化・サービス化するという新規事業を公募するための活動だ。たとえ、「未完成」のものであっても世に問い、消費者とともに新しい“カデン”を考え、完成に近づけていく取り組みと言える。

サウス・バイ・サウスウエストのゲームチェンジャーカタパルトのブース(3月、米テキサス州で=パナソニック提供)
サウス・バイ・サウスウエストのゲームチェンジャーカタパルトのブース(3月、米テキサス州で=パナソニック提供)

 なぜ“カデン”とカタカナにしているのか。従来の「家電」の枠を取り払い、「製品」か「サービス」かの線引きもせず、一から改めて考え直すということを意味するそうだ。

 社内から応募があった新しいカデンの提案は、経営陣ができるだけ注文をつけないよう配慮した事前選考を経て、毎年春に米テキサス州で行われる、サウス・バイ・サウスウエストという音楽・映画などを組み合わせた大きなイベントに試作品を出展。訪れる人に評価してもらうそうだ。

 事業化が決まれば、社内から独立させて新たに組織化。提案者が最後まで完結させることを前提に、パナソニック内部で行わない場合もある。その際、米シリコンバレーに拠点を置く日系ベンチャーキャピタル(VC)、スクラムベンチャーズとパナソニックが共同で設立した企業が金銭面や経営面でサポートする仕組みも設けている。

 仕組みは「緩やかな社内ベンチャー」といえるだろう。自由な発想で事業を提案し、上司からの「ダメ出し」で頓挫(とんざ)しないように外部の評価によって事業化につなげるシステムを取り入れ、「伸ばせるところまで伸ばしてみる」試みだ。

尖った商品の数々

パナソニックから誕生した「アンビエント・メディア・プレーヤー」(パナソニック提供)
パナソニックから誕生した「アンビエント・メディア・プレーヤー」(パナソニック提供)

 現時点では製品化・サービス化されたものはまだないものの、候補は絞り込まれているそうだ。例えば、日本酒を適温に冷やすだけでなく、瓶を挿入するだけでラベルを読み取って、蔵元の情報や、その日本酒に合う料理をパネルに表示する冷温庫「サケクーラー」や、インテリアのように住空間に溶け込むデザインで、自然などの美しい映像を映し出すディスプレー「アンビエント・メディア・プレーヤー(AMP)」もカタパルト発のアイデアの一部だ。

 AMPは現在、映像作家らを巻き込みながら、各地でPRイベントなどを精力的に行っている。

 ゲームチェンジャーカタパルト代表の深田昌則氏は、「グーグルが検索事業から、アマゾンが書籍販売から事実上『脱皮』しているのに、パナソニックは家電メーカーのままでいいのか?」という危機意識から、プロジェクトを考案した。

 深田氏は「将来、何が流行するかなんて(誰も)わからない。それは会社の幹部だって同じだ。今は(売り上げは)小さくても将来、大化けするかもしれない。ゲームチェンジャーカタパルトは、そのプラットフォーム(基盤)となる」と胸を張る。そして「我々は(海外企業などの)『破壊的イノベーション』に備えている」と、対決姿勢をあらわにする。

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