洪水危険、土砂崩れ注意…「地名」は警告する

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「周囲に峰々」「大量の地下水」…地名に刻まれた危険

土砂や岩に押し流された住宅(7月7日、広島県呉市内で)
土砂や岩に押し流された住宅(7月7日、広島県呉市内で)

 広島県の被災地には、ほかにも災害地名とみられる名前がある。三原市は三つの川が流れ込む「水」(ミ)の「原」(ハラ)、すなわち湿地にちなむ地名という説があり、坂町は文字通り「傾斜地」を意味する。呉市は周囲を九つの峰で囲まれ、「九嶺(きゅうれい)」が「クレ」になったとも、崩壊地形を表す音「クラ」が由来ともいわれる。2004年に呉市に編入された川尻町の「川尻」の名も、大量の水が地下を通る「河代(かわしろ)」が由来とされる。

 熊野町で土砂崩れが起きたのは「川角(かわすみ)」地区の住宅団地。「馬(ウマ)」は崩壊地形を示す「ウバ」の当て字に使われることが多いが、場所が離れた広島市東区「馬木(うまき)」と東広島市西条町「馬木」でともに土砂崩れが起きている。ちなみに東区馬木3丁目は災害とは無縁の「やすらぎが丘団地」の名で開発されていた。新たに住み始めた住民は、自分の居住地の危険性をどこまで認識していたのだろう。

オカルトでも都市伝説でもなく

『市町村名語源辞典』(東京堂出版)『あぶない地名』(三一書房)などを参考に作成。具体的な地名は災害地名に使われることが多い音や字のある例で、必ずしも災害の危険がある地名を意味しない。
『市町村名語源辞典』(東京堂出版)『あぶない地名』(三一書房)などを参考に作成。具体的な地名は災害地名に使われることが多い音や字のある例で、必ずしも災害の危険がある地名を意味しない。

 『市町村名語源辞典』(東京堂出版)などによると、災害の傷跡を示す「音(読み)」や漢字が入った地名は、主なものだけでこれだけある(別表)。水を表す「さんずい」や、川の蛇行や激流を示す「蛇」や「竜(龍)」などの漢字が入った地名は分かりやすいが、多くの災害地名は「埋め(ウメ)」→「梅」、「ウバ」→「馬」のように、字より音に由来する。もともとは地域住民だけに通じる呼び名として音で語り継がれてきたためだという。

 だが、ならば「梅」だけが「埋め(ウメ)」の当て字とは限らないし、かつて梅林があったことが地名の由来なら、「梅」があっても災害地名とはいえないことになる。「○○ヶ丘」「××台」という名前は安全と思いがちだが、かつて丘も台地もなかったところの地名がこうなると、何が危ない地名なのか分からない。

 東日本大震災以降、「この地名は危ない」と解説する本が何冊も出されたが、「結局は災害が起きた後に解釈をこじつけているだけではないか」という批判がつきまとうのは、もっともな面もある。

 しかし、災害地名をオカルトや都市伝説と同列に見るのは間違いだろう。東京のバス停の名前から地盤が良好か軟弱かを調べると、河川や沖積低地の地質図と見事に一致するという研究成果もある。

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34502 0 深読み 2018/07/30 11:20:00 2018/07/30 11:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180725-OYT8I50033-T.jpg?type=thumbnail

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