タワマンが都心に建てられなくなる日は近い?

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タワマンが抱える悩みのタネ…

写真はイメージです
写真はイメージです

 ところで、前述のように1997年から頭角を現してきたタワマンは、そろそろ築20年を超える物件が増えてくるでしょう。

 タワマンは、エレベーターや階段などの共用部分の面積も大きく、コンシェルジュサービスやラウンジ、ゲストルーム、スポーツジムなどのサービスや施設を充実させたものも多く、その分、月々支払わなければならない管理費が高めに設定されています。

 加えてタワマンは、その高さのために足場を組んで外壁の修繕が行えないという「弱点」があります。結果、ゴンドラなどによる高所作業となり、一般的なマンションに比べ作業効率は悪いうえ、風速10メートルを超えると作業は中止しなければなりません。ゆえに、工期は長期化し、工事費も高くなります。筆者が知る、とあるタワマンの大規模修繕工事は2年10か月かかり、総額で6億円以上を要したそうです。

 また設置されている高速エレベーターは、混雑を防ぐため緻密なコントロールを要します。このほか、情報通信機器も大量のデータを扱う性能の高さが要求されます。いずれも特注品で非常に高額になりがちです。当然、修繕や交換にも莫大(ばくだい)なコストがかかります。

 そもそもエレベーターや情報通信機器などは技術の進歩のスピードが速く、30年後の施設更新の際、同じ性能のものに交換するとは考えにくいでしょう。最新式に交換するとなると想定以上に費用がかさむ可能性も高いといえます。

スラム化するタワマンも出現…?

 ほかにも、あちこちのマンションで露呈する可能性が高いのは、「修繕積立金」の問題です。

 修繕に備え資金をプールする修繕積立金は、実質的な建物の“維持費”として所有者が自室の面積によって、応分で負担するものです。

 この修繕積立金。新築当初は低めに設定されているのが一般的です。多くのタワマンでは「10年後に2倍、15年後に3倍……」と徐々に増える計画になっていたり、一定期間経過後に100万円単位の「一時金」の支払いを求められたりするケースが大半です。

 修繕積立金の問題は、あちこちのタワマンで露呈する可能性が高そうです。建物の老朽化とともに、入居当時は30代から40代で現役バリバリだった住民も、30年後には当然60代から70代へと年を重ねています。

 定期収入がなく、年金の支給を受けて生活している人が大半になるでしょう。仮に35年返済の住宅ローンを現役時代に前倒しで完済していても、消費増税や修繕積立金の度重なる値上げに耐えられず、滞納する家庭も増えることが懸念されます。

 建物はどんどん劣化していくのに、必要な修繕もままならず、建物が朽ちていくのを見届けるしかない「タワマンのスラム(廃虚)化」が現実のものとなるのは、30年ほど後ではないでしょうか。

 都心や湾岸地区、武蔵小杉に林立するタワマンの中でも、修繕計画などを決定する管理組合などがしっかりと機能し、数十年後も持続可能なタワマンと、かつての「ニュータウン」のように衰退していくタワマンに「二極化」するのではないかと、筆者は予想しています。


プロフィル
長嶋 修(ながしま・おさむ)
 不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である「不動産の達人」、株式会社さくら事務所を設立、現会長。2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

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