ゆるキャラはどこへ消えた?

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

ひこにゃんブームの仕掛け

全国にファンがいる「ひこにゃん」(彦根市で)
全国にファンがいる「ひこにゃん」(彦根市で)

 そもそも、「ゆるキャラブーム」に火をつけたのは、滋賀県彦根市の「ひこにゃん」でした。

 「ゆるキャラグランプリ」が始まる4年前の2007年に開催された「国宝・彦根城築城400年祭」に伴い、一般公募によるマスコットキャラクターとして誕生しました。もちろん、すぐに注目が集まったワケではありません。

 イベントの主役である彦根城には“宿命”といえる課題がありました。代表的な城主は「安政の大獄」や「桜田門外の変」で知られる井伊直弼です。どうしても暗いイメージがぬぐえません。ネガティブなイメージは、イベントへの集客に響くと懸念もありました。

 このイメージを克服するために仕掛けたPRが功を奏したのです。

 私は、滋賀県の依頼を受けて「イベントの集客」に的を絞ったPRを仕掛けることになりました。そこで目をつけたのが、「ひこにゃん」でした。私は、PRの主役を彦根城から「ひこにゃん」にすり替えることにしました。そして、「ひこにゃんと楽しむ2007年彦根の旅」と銘打ったPRを全国に展開したのです。

女性たちの母性本能をくすぐる

 「ひこにゃん」をPRの主役にした理由は、主に二つありました。

 一つ目は、観光の集客において、女性をターゲットにしたことです。女性はたいてい一人で行動せず、ファミリーや友人と連れ立ってやってくる傾向があり、集客効果が高いとされています。さらに、特産品や土産物の購入意欲が高く、口コミなどで拡散してくれるため一石二鳥のPR効果があると期待しました。

 二つ目は、ひこにゃんのフォルムが、女性の母性本能をくすぐる可能性があると考えました。実は当時、私自身が仕事のために出産を諦めたまま40代を迎えていました。赤ちゃんに向かうはずの母性本能を持て余し、やたらに「かわいいもの」を求めていたのです。その代表格がネコでした。小さく、モフモフとした感覚に夢中になりました。空前のネコブームも、私のような女性が増えたことが一因かと思われます。

 ひこにゃんは、その姿やネーミングからも分かるように、ネコと赤ちゃんの可愛さを併せ持つ愛くるしいフォルムが特徴です。

 「きっと多くの女性たちを集められる」

 そう確信し、PRの主役を「ひこにゃん」に挿げ替えました。そして、「カワイイ」に敏感な女性ジャーナリストたちの協力を得て、「ひこにゃん」の全国PRを仕掛けたのです。

 目論みは当たり、「彦根城にひこにゃんというかわいいキャラクターがいる」との報道が全国に流れました。多くの女性が「ひこにゃん」を目当てに彦根城に集まるようになりました。ひこにゃんは一躍人気者になり、「彦根城築城400年祭」の入場者数はみるみる増えていったのです。

 こうして滋賀県から与えられたミッションは成功し、私の仕事は終わりました。しかし、その後、この仕掛けは意外な方向へ発展していきます。

1

2

3

4

5

無断転載禁止
37163 0 深読み 2018/08/12 08:58:00 2019/01/22 16:11:51 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180801-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ