ゆるキャラはどこへ消えた?

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ゆるキャラはどこへ?

「ゆるキャラグランプリ2018」への意気込みを表明する三重県四日市市の「こにゅうどうくん」
「ゆるキャラグランプリ2018」への意気込みを表明する三重県四日市市の「こにゅうどうくん」

 一世を風靡したゆるキャラブームも、ここにきて一段落した印象があります。国が起こした「地方創生」によって、多くの「ゆるキャラ」たちは忘れ去られようとしています。

 「3年前の夏は、暑い中で手を振ったり、踊ったりしていました。私が議会事務局に異動になってしまい、今は着ぐるみも倉庫に眠ったままになっているようです」

 埼玉県のある市で、かつてゆるキャラの“中の人”だった男性職員は懐かしそうに振り返りました。このように、役所の事情に振り回され、その姿を潜めてしまったゆるキャラも少なくありません。しかし、ゆるキャラが女性や子どもたちを惹きつけるパワーは消えていないはずです。

これが、ゆるキャラの生きる道

 ブームの波に流されず、地域の一員として定着しているケースもあります。

 「ひこにゃん」は、彦根城の顔として地元の人たちとともに、観光客のおもてなしに励んでいます。彦根城に「安政の大獄」などの暗いイメージを抱く人はほとんどいなくなりました。彦根城と彦根市の新しいイメージをつくった立役者と言えそうです。

 世界規模で活躍が伝えられる「くまモン」は、熊本県のスポークスマンの役割を担っています。熊本地震の際も国内外とのコミュニケーションに活躍したことは記憶に新しいところです。当初は観光PRとしての役割が大きかったようですが、今では、地域の一員として不可欠な存在となっています。

 ひこにゃんやくまモンほどの知名度はありませんが、徳島市のゆるキャラ「トクシィ」も、地元で重責を担っています。阿波おどりを次世代へ継承するために、市内外の子どもたちに指導しているのです。普段は落ち着きのない子どもたちも、トクシィが教えると熱心に練習に励むそうです。

 「ゆるキャラ」は地域の一員として働くことで、女性や子どもたちを惹きつける独特の求心力が生かされるのです。「ゆるキャラ」そのものは、もはや先駆的な事業ではないかもしれませんが、ゆるキャラを生かした地域活性化策は「地方創生推進交付金」の対象になるかもしれません。

 地方自治体のみなさん、倉庫に眠っているゆるキャラの活用をもう一度考えてみては?


プロフィル
殿村 美樹(とのむら・みき)
 PRプロデューサー。京都府宇治市生まれ。TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)、「うどん県」(香川県)など地方のPR戦略を手がけてきた。「今年の漢字」もプロデュース。主な著書は「テレビが飛びつくPR」(ダイヤモンド社)、「ブームをつくる」(集英社新書)など。

『ブームをつくる』(集英社新書)
『ブームをつくる』(集英社新書)

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無断転載禁止
37163 0 深読み 2018/08/12 08:58:00 2019/01/22 16:11:51 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180801-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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