米朝交渉難航の中、金正恩氏が余裕なワケ

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長期戦覚悟の対米交渉、中国の助けは必須

北朝鮮の建国70年を祝う式典で人々に手を振る金正恩朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信が10日に配信した写真(ロイター)
北朝鮮の建国70年を祝う式典で人々に手を振る金正恩朝鮮労働党委員長。朝鮮中央通信が10日に配信した写真(ロイター)

――北朝鮮は中国との関係をどうしようとしているのか。

 「金正恩指導部の当面の課題は、経済を立て直すこと。そのためには、中国との関係改善が何より大事だ。北朝鮮経済はすでに、価格などの統制を受けない『自由市場』に依存せずにはやっていけない状況にある。中国から物資が入らなかったら、民心の動揺が広がる可能性すらある。

 韓国は北朝鮮支援に前向きだが、米国の立場を完全に無視してまで、大規模な援助や経済交流に踏み出すのは難しいだろうと、金正恩氏は判断している。だから、当面の難局を打開するには、中国の助けがどうしても必要だ。

 さらに、韓国が派遣した特使に対し、金正恩氏は『トランプ大統領の1期目の任期中の非核化を考えている』と言ったとされる。長期戦で臨むつもりの北朝鮮は、その間、米国の制裁緩和が期待できないことも知っている。それまで体制がしのいでいくためにも、中国のバックアップは重要だ。

 中国と接近することは、米国との交渉力を高め、米国を牽制(けんせい)することにもなる。金正恩氏は今のところ、完全に中国に傾倒しているようにも見えるが、最終的な目標は米国の態度を変えることにある。中国傾倒は、そのための戦術という面もあるのではないか」

制裁緩み、非核化を急ぐ必要なし

平壌市内のレストランで料理を運ぶ店員(10日撮影)=ロイター
平壌市内のレストランで料理を運ぶ店員(10日撮影)=ロイター

――ミサイル・核実験の停止を表明してから金正恩政権は経済に力を入れているようだが、国際社会が厳しい制裁を科す中、うまく行っているのか。

 「北朝鮮で今起きている一番大きな変化は、金正恩氏が地方視察に行って雨に()れながら歩いたり、ズボンにドロがついたまま写真に写ったりしていることだ。国民の目を意識するようになったのだろう。

 金正恩氏は今年、トランプ大統領、習近平主席、韓国の文在寅大統領と相次いで会談した。国民は何か大きなことがあるのではないか、経済的にも少し楽になるのではないかと首を長くして待っている。しかし、今のところ経済面では大きな成果を出すには至っていない。これまで国民が何を考えようと気にしなかったのが、少しは意識するようになった。

 国際社会の制裁は、中国が北朝鮮の肩を持てば無意味になる。北朝鮮の外交攻勢で、国際社会の制裁網、雰囲気はかなり緩くなってしまった。中国が大型の中古発電機を北に提供したという情報もある。また、中朝国境沿いの民間の物流も以前よりは活発になった。北朝鮮から中国に出稼ぎに行った労働者がそのまま居座っているケースも増えている。

 加えて韓国も今、米国の顔色をうかがいながらも、大規模な経済交流を準備している。金正恩氏にとっては、ゆったりと構える余裕ができつつある。非核化を急ぐ必要はないと考えても不思議ではない」

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40517 0 深読み 2018/09/11 12:36:00 2018/09/11 12:36:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180911-OYT8I50017-T.jpg?type=thumbnail

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