森保ジャパン…「エリート対雑草」バトルが面白い

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大胆な若手起用も

 森保監督の選考の特徴は、23歳以下を主体とする五輪代表の監督を兼任していることもあり、幅広い年代に門戸を開いていることにある。

 W杯終了後に、新たなチームづくりを始めるとき、一日も早く結果を出そうとするためか、それまでの主力を残す傾向が見られる。

 2006年のドイツ大会後には、それまで代表を牽引(けんいん)してきた中田英寿が引退したが、中澤佑二(横浜M)や中村俊輔(磐田)ら主力選手の何人かを残したままチーム作りは進み、本格的な世代交代は10年の南アフリカ大会直前にずれ込んだ。これに対し、今回のコスタリカ戦では、ロシア大会に出場した選手のうち先発出場は槙野智章(浦和)のみで、積極的に若手にチャンスを与えようという姿勢がうかがえる。

雑草組にもチャンス

 森保采配のもう一つの特徴は、戦術の柔軟さだ。コスタリカ戦では、「エリート組」で攻撃を組み立てる一方で、相手に身長の高い選手がいたこともあり、体が強く、ヘディングが得意な「雑草組」の佐々木を起用して、先制点を導き出した。相手に疲れが見えた後半には同じく伊東を入れ、スピードとキレのあるドリブルで相手を翻弄して3点目につなげた。

 状況に応じて戦術を変える森保監督の“駒”になるだけの抜きん出た個性をアピールできれば、「雑草組」も日本代表に選ばれるチャンスは十分にあることを示したのだ。

サムライブルー、新時代へ

岩崎悠人(左)と前田大然(右)=アジア大会のマレーシア戦で
岩崎悠人(左)と前田大然(右)=アジア大会のマレーシア戦で

 今夏にインドネシアで開かれたアジア大会は、五輪と同じように23歳以下が基本で、オーバーエージ枠が設けられた。優勝した韓国はこの枠を使ってA代表の主力を呼んで補強したが、日本代表は、2年後に23歳以下になる21歳以下からしか選ばなかった。Jリーグがシーズン中で各クラブの主力級の若手を呼べないという事情もあったが、大学生やJ2、いわば「1.5軍」で臨んだ。

 それでも、準優勝までたどり着き、大会を通じて、スピードという武器を持つ前田大然(松本)や岩崎悠人(京都)が存在感を示すなど、新たなA代表候補の発掘につなげた。

 さらに、その下の19歳以下の世代を見ても、神戸でイニエスタやポドルスキといった世界トップクラスの選手とピッチで“共演”している19歳の郷家友太、バルセロナ下部組織出身で17歳の久保建英(横浜M)などもいて、代表サバイバルレースはさらに激しさを増しそうだ。

 激しい競争の結果、日本代表の世代交代も活性化する。コスタリカ戦でゴールした南野は喜びもつかの間、「次の10月(12日=パナマ戦、16日=ウルグアイ戦)に選ばれるか分からない」と危機感をあらわにした。年齢や出身、エリートか雑草かなどに一切関係なく、競う合う日本代表の未来は明るい。サムライブルーは新たな時代に突入した。

プロフィル
元川 悦子( もとかわ・えつこ
 1967年、長野県松本市生まれ。松本深志高校、千葉大学法経学部を卒業。夕刊紙記者などを経て94年からフリーのサッカージャーナリストとなり、サッカー・ワールドカップは同年のアメリカ大会から現地で取材している。「足で稼ぐ取材」がモットーで、国内外で活躍する選手たちを取材するため現地まで赴く。著書に日本代表候補に名を連ねる選手たちの成長期を取材したシリーズ『僕らがサッカーボーイズだった頃 1~4』(カンゼン)など。

『僕らがサッカーボーイズだった頃4 夢への挑戦』(カンゼン)
『僕らがサッカーボーイズだった頃4 夢への挑戦』(カンゼン)


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41664 0 深読み 2018/09/19 18:31:00 2019/01/22 16:13:16 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180919-OYT8I50004-T.jpg?type=thumbnail

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