前代未聞、ブロッキング法制化巡り委員の半数が反対

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GDPRにも影響か

 ブロッキング法制度整備の議論は、他の日本の国家戦略にも影響しそうだ。

 この日の検討会で、コンテンツ海外流通促進機構代表理事の後藤健郎委員が「この議論は世界から注目されている」として、ブロッキング法制度整備を急ぐべきだと発言すると、宍戸委員がすかさずこう反論する場面があった。「それは見方が逆。法制化を焦れば、むしろ日本が『ブロッキングありき』で通信の秘密を破壊している、との(そし)りを免れない」

EUの日本に対する十分性認定決議案。通信の秘密を保護するための仕組みを高く評価している
EUの日本に対する十分性認定決議案。通信の秘密を保護するための仕組みを高く評価している

 宍戸委員の頭にあったのは、現在、欧州連合(EU)と日本の間で交渉が進められ、採択へのカウントダウンが始まった「十分性認定」への影響だった。

 EUでは今年5月、一般データ保護規則(GDPR)が施行された。EU域外への個人データの持ち出しを原則禁止し違反した場合には高額な制裁金を科す仕組みとなっている。日本企業がEU域内から個人データを持ち出すには、現状では個別に煩雑な手続きが必要だ。ただ、EUがデータ移転先の国や地域のデータ保護水準が「十分」と認定した場合には、データ持ち出しを認める制度があり、日本の個人情報保護委員会は、この認定を受けるために長く交渉を重ねてきた。そして今、ようやく認定に向けた決議案が公表され、協議は最終段階に入ったところだ。

 実はこの決議案の中で、日本のデータ保護の仕組みとして高く評価されているのが、憲法で通信の秘密を守っている点だった。「仮に日本が、拙速な議論で通信の秘密に穴をあけるような国だと思われると、この評価が崩れかねないと危惧している」と宍戸委員は打ち明ける。

 インターネットにおける表現の自由やプライバシーの保護と、知的財産の保護のバランスをどうとるか。これは世界的に大きな課題となっている。その課題に対し、各国はそれぞれの憲法や通信法制など法体系全体でバランスをとり、それは国によってまちまちだという。「表現の自由」が強力に尊重される米国、プライバシーとデータ保護の権利を強く規定するEU。そして日本の場合、憲法にプライバシーという言葉はないが、通信の秘密の規定などによってプライバシーを守り、インターネットの秩序を作ってきた。宍戸委員は「知的財産の保護は、日本の成長戦略を支える大きな柱。ただ、日本の国家戦略全体を見渡すことなく進めれば、思わぬところに大きな穴をあけかねない」と危惧している。

プロフィル
若江 雅子( わかえ・まさこ
 読売新聞編集委員。北海道支社、社会部などを経て現職。サイバーセキュリティーやネット関連の事件取材などを数多く手がける。

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41615 0 深読み 2018/09/20 17:45:00 2018/09/20 17:45:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180920-OYT8I50033-T.jpg?type=thumbnail

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