今や“泳ぐ宝石”…過熱するメダカブームのウラ

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72万円相当、盗まれた「ブラックダイヤ」

 童謡「めだかの学校」にうたわれるように、日本中の川や池などに生息し、ごく身近な生き物として親しまれてきたメダカたち。野生種は近年、絶滅危惧種にリストアップされて世間を驚かせたが、ヒメダカやクロメダカといった一般的な種類はペットショップなどで売られていて、1匹数十円ほどと安価だ。安く入手できることから肉食魚類のエサにされたり、実験動物として利用されたりしてきた。

 ペットとして飼う人が増えたのは、ここ数年のことだ。一般社団法人・ペットフード協会の調査によると、過去10年間にメダカを飼った経験がある人の割合は2013年には3.9%だったが、16年には6%に上昇した。これは熱帯魚(3.8%)や小鳥(3.6%)などを上回る数字だ。

 大がかりな飼育設備が要らず、小さなスペースで事足りるため、マンションなどでも飼う人が増えているとみられる。人気の高まりに伴い、ホームセンターなどに「メダカコーナー」が設けられるなど、観賞魚としてのメダカの注目度は高まっている。

 だが、過熱するブームは弊害も巻き起こしている。今年6月、愛媛県松山市のメダカ販売店で「ブラックダイヤ」と呼ばれるメダカ48匹(72万円相当)が盗まれる事件があった。実は、青木さんも群馬県に店舗を構えていた14年、2度も盗難の被害に遭っている。犯人は夜中にビニールハウスを刃物で破って侵入し、品種改良中だったメダカを盗んでいった。現在の店舗をビルの5階にしたのは盗難防止対策のためでもあるという。

「人と違うものを…」欲が巻き起こした弊害

光ダルマメダカ(青木さん提供)。光メダカとダルマメダカの特徴を同時に持ち、人気が高い
光ダルマメダカ(青木さん提供)。光メダカとダルマメダカの特徴を同時に持ち、人気が高い

 価格の高騰も目につく。あるインターネットオークションサイトには、3000件近いメダカの出品があり、数千円~数万円の入札価格が並ぶ。中には「1ペア50万円」という高額なものも。青木さんは「新しいものを作り出す労力を思えば数万円という価格はうなずけるが、『他の人とは違う変わったものが欲しい』という欲や珍しさが先行すると、思っていたのとは違うメダカを高額な価格でつかまされることがある」と注意を促す。

 ネットオークションでは、メダカの写真とともに「この親から生まれました」といった説明付きで卵を販売するケースがある。しかし、ダルマメダカを例に挙げたように、珍しい種類は固定率が低いことが多く、そういった親から生まれた卵が孵化して親と同じ姿形になる確率は決して高くない。また、オークションサイトに掲載されている写真は、色などを調整している可能性も考えられ、落札した商品が届いてみると想定と全然違ったということにもなりかねない。

 メダカの寿命は2年ほどで、伝統的な観賞魚である金魚や錦鯉に比べれば短い。青木さんは「種類の珍しさや価格が注目されがちだが、生き物を扱っているということを忘れてはいけない。きちんとした飼育知識があれば誕生から繁殖まで見ることができるのがメダカ。楽しく健全に飼育してほしい」と話している。

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43541 0 深読み 2018/09/30 07:20:00 2019/01/31 20:21:27 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180928-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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