今や“泳ぐ宝石”…過熱するメダカブームのウラ

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絶滅の危機にある野生のメダカ

 健全な飼育――。それは水槽の外の世界にとっても重要な意味を持つ。飼えなくなったメダカを安易に川や池などに放す行為が、生態系に深刻な影響を与えるおそれがあるのだ。

 国は1999年、野生のメダカを「絶滅危惧種」に指定した。英語でricefishと表記されるように、田んぼのまわりで見られる魚として親しまれてきたメダカだが、都市開発などの影響で生息に適した場所が激減したうえに、生息地が競合する外来生物が持ち込まれたことで生存が危ぶまれる事態となった。今年、公表された最新の環境省のレッドリストでも、野生種は「絶滅の危険が増している」とされている。

 先述したとおり、近年の研究で日本のメダカの仲間は2種類に分けられた。東北から北陸にかけての日本海側に分布する「キタノメダカ」と本州の大部分と九州などに広く分布する「ミナミメダカ」だ。2003年発表の研究によれば、これらの日本の野生のメダカには、更に地域ごとに15の遺伝子型があることが分かっている。長い年月をかけて、それぞれの地域的な特性が作り出したものだ。

生態系を脅かす「交雑」

葛西臨海水族園で飼育されている「東京めだか」
葛西臨海水族園で飼育されている「東京めだか」

 例えば、東京・江戸川区の葛西臨海水族園が保全を進める「東京めだか」は、ミナミメダカのうち、(1)都内に生息 (2)関東地方特有の遺伝子を持つ (3)ヒメダカの遺伝子を持たない (4)他地域からの移動の記録や痕跡がない――という四つの条件を満たすものを指す。現在、「東京めだか」と考えられているミナミメダカの個体群は4系統あり、保全のための飼育が続けられているが、いずれも葛西臨海水族園などによる人工飼育だ。

 都内の川や池などの水辺にも、メダカが生息していることは調査でわかっている。ただ、それらのメダカの遺伝子を解析すると、関西や九州などのメダカに特有の遺伝子が見つかり、他地域のメダカとの交雑が進んでいる実態が明らかになった。東京在来の遺伝子型であっても、品種改良され観賞用として普及しているヒメダカの遺伝子を持つものも多い。こうした交配による「遺伝的攪乱(かくらん)」が、野生のメダカを保全する上で非常に問題になっている。

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43541 0 深読み 2018/09/30 07:20:00 2019/01/31 20:21:27 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20180928-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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