「私も月へ行けますか?」東大教授に聞いてみた

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宇宙ビジネスの課題と期待

(スペースX社の月旅行のイメージ)
(スペースX社の月旅行のイメージ)

 スペースX社は、ISSに人を運ぶミッションをNASAから受注しています。ただ、これだけを請け負っても、ビジネスとしては儲かりません。この技術を使って、民間旅行に広げたいというのは民間企業として当然のことです。

 そして、宇宙開発という点でいうと、税金を使う国家プロジェクトとして行う場合、事故や失敗があれば何年間も計画はストップしてしまいます。納税者への説明ができないような状況で、費用対効果を考えると宇宙開発は不要論すら出かねません。

 これに対し、民間企業による開発や事業化については、ある意味、自己責任で進めることができます。つまり、ビジネスとして成立すれば、技術開発が一気に進む可能性も期待されます。ただ、宇宙旅行ビジネスにも課題があります。

月旅行は「インスタ映え」必至

 宇宙での滞在というと、筋力が衰えたり、骨がもろくなったりするリスクが懸念されますが、1週間程度であれば体への負担はあまり心配する必要はありません。宇宙服や宇宙船などの環境整備によって、特殊な訓練をしなくても宇宙旅行は可能でしょう。

 ただ、厳しい訓練を受けた宇宙飛行士でさえ「宇宙酔い」をすると言われています。宇宙酔いによる体調不良が数日間続いたという宇宙飛行士の証言もあります。つまり、1週間程度の宇宙旅行で、体調不良が数日間も続いたら旅行は楽しめません。これについては、薬で改善させようという研究が進められています。宇宙酔いの予防薬ができれば、快適な旅行になるでしょう。

 もう一つは費用の問題です。現在、数億とも数百億円とも言われる旅費が、どこまで下がるかは、マーケットがどこまで広がるかということに尽きます。

 そのためには、宇宙旅行の体験者からのアウトプットが重要になります。その点では、音楽家や芸術家が強烈なインスピレーションを得て、宇宙の壮大さや人類のはかなさ、地球の美しさといったことを表現してもらえば、「私も行ってみたい」という希望者が増えるかもしれません。めったに撮影することができない「インスタ映え」の写真なども公開されれば興味を引くことでしょう。

 もちろん、最初に行く人にはリスクがあるかもしれません。しかし、今回の計画が成功すれば、宇宙への関心がぐっと高まり、今後のビジネスや研究・開発において意義深いことになるでしょう。いつか、宇宙が身近な旅行先となる第一歩になるかもしれません。

 

プロフィル
小紫 公也(こむらさき・きみや)
 1992年、東大大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修了、博士(工学)。名古屋大大学院工学研究科講師、米ミネソタ大学機械航空宇宙工学専攻客員研究員、東大大学院航空宇宙工学専攻助教授、JAXA宇宙科学研究本部客員教授などを経て、2014年から現職。

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43357 0 深読み 2018/10/03 16:49:00 2018/10/03 16:49:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181003-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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