海外で嫌われる…日本発の“外来種”

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ジャパンの名を冠したやっかいもの

 アメリカでは日本在来のコガネムシの一種「マメコガネ」が1900年代はじめに輸送物資に紛れて持ち込まれ、以来、農業の大害虫として問題となっています。「ジャパニーズ・ビートル」と呼ばれ、天敵のいない米国内において急速に分布を拡大し、大豆やトウモロコシなどの農作物に深刻な被害を与え続けています。

 ニホンジカは現在、日本国内でもその数が増えすぎて、林業や農業で被害が深刻になっていますが、このシカは、古くから主に狩猟目的および食用としてヨーロッパや米国、ニュージーランドにも持ち込まれています。日本同様に農林業被害をもたらすほかに、在来のシカと交雑することによって遺伝的(かく)(らん)を引き起こしていることが指摘されています。

アメリカの大地を覆うクズ(Gentry George撮影)
アメリカの大地を覆うクズ(Gentry George撮影)

 日本ではくず粉や漢方薬の原料として知られる多年生の雑草「クズ」は、1800年代後半に日本から緑化目的でアメリカに持ち込まれました。

 緑化そのものは成功しましたが、現在、米国内でその繁殖に歯止めが利かず、草原や森林の植生を塗り替えてしまい、さらには自動車や建物、電線までもあっという間に覆い尽くしてしまう「グリーンモンスター」として恐れられています。クズによる被害額については、年間100万~500万ドルという試算もあります。

アメリカ国内のクズの分布図(米Early Detection & Distribution Mapping Systemのホームページより)
アメリカ国内のクズの分布図(米Early Detection & Distribution Mapping Systemのホームページより)

ワカメも外国では嫌われもの?

 19世紀、江戸の鎖国時代に長崎の出島に来日して博物学的研究を行ったドイツ人の医師・植物学者フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが、ヨーロッパへ帰国するときに土産として持ち帰った日本在来のイタドリが、今ではイギリスの政府予算をも揺るがす外来雑草となっています。イタドリは地下茎で繁殖し、アスファルトやレンガさえも突き破って伸びるため、建造物や道路、防波堤、下水道など社会インフラに深刻な被害が生じています。

 日本では食用として重宝されるワカメも、海外では大変迷惑な外来生物として問題になっています。ワカメはもともと日本、朝鮮半島の近海に生息する海藻ですが、これまでに、アメリカ、フランス、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、黒海、地中海など世界中の海域に移送されて繁殖していることが確認されています。日本に荷揚げしたタンカーが船体の安定を保つために、空になった船倉に「バラスト水」として日本近海の海水を取り込んだ際にワカメの胞子が紛れ込み、世界中の海域へと運ばれたと考えられています。

 ワカメが増えるなんて、日本人から見れば食べる量が増えてありがたいと思ってしまいますが、海外ではワカメを食べる習慣はほとんどありません。そのため、増え続けた侵入ワカメが養殖のカキや、ホタテ、ムール貝、イセエビなどの成長を阻害したり、漁業用の機械にからまったりするなど、水産業に重大な影響をもたらしています。

 ワカメ同様、バラスト水で運ばれたキヒトデと言われる日本産のヒトデがオーストラリアやニュージーランドの沿岸で大繁殖して、貝類などを食い荒らす被害も出ています。

 

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45370 0 深読み 2018/10/08 07:00:00 2019/02/12 16:06:20 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181003-OYT8I50065-T.jpg?type=thumbnail

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