災害に負けるな、ローカル線

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バスの輸送力には限界も

2000年に起きた正面衝突事故により、運行停止となった京福電鉄の代替輸送手段となったバスに乗り込む人たち(2001年6月、福井県勝山市で)
2000年に起きた正面衝突事故により、運行停止となった京福電鉄の代替輸送手段となったバスに乗り込む人たち(2001年6月、福井県勝山市で)

 鉄道が廃止になった場合は、代替交通機関としてバスが使われることが多い。

 2000年と翌01年に福井県で列車衝突事故を起こした京福電鉄が運行停止となった際にも、代行バスが走った。しかし、鉄道では1便2両で計300人を運ぶのに対し、バスは1台40人。福井市内への通勤・通学で利用する人が多く、全員が乗れずに積み残されることが起こった。

 自家用車への切り替えなど車に頼る人が増えた結果、交通量が増えて渋滞が起こり、会社員や高校生の遅刻が多発。もともと自家用車で通勤していた人にも影響が及んだ。雪が降り積もる冬季は、渋滞がさらにひどくなる。お年寄りがバスを待って立ち続ける姿も見られた。

 こうして高齢者や生徒など車を持たない、いわゆる「交通弱者」は出掛けにくくなり、人との交流が減ったり、観光客が減ったり、地域の疲弊につながったりしたとして、代行バスは「壮大な負の社会実験」と、新聞でも取り上げられた。

京福電鉄の路線を引き継いで生まれた「えちぜん鉄道」。アテンダントが乗り、乗客の手助けをしている(2008年撮影)
京福電鉄の路線を引き継いで生まれた「えちぜん鉄道」。アテンダントが乗り、乗客の手助けをしている(2008年撮影)

 こうした経緯から、大量輸送、定時運行という鉄道の強みがあらためて見直され、京福電鉄の後継となる第三セクター「えちぜん鉄道」の誕生へとつながっていった。現在、「えちぜん鉄道」は車両にアテンダント(乗務員)を配置し、お年寄りの乗り降りを手助けするなど、地元の人に寄り添ったサービスを展開している。

鉄道だからこその要素とは

 福井県のケースは大量輸送という鉄道の強みが発揮できる場合であり、沿線地域が人口減少に直面する多くのローカル線では、事情は異なってくる。バスは、鉄道に比べて維持や運行のコストが低く、バス停の設置も容易で小回りがきく。こうしたメリットを活用すれば、鉄道廃止後でも移動しやすい地域をつくっていく道はあるだろう。

鳥取県東部を走る第3セクター・若桜鉄道が2015年4月に行った「SL走行社会実験」には多くの人が詰めかけ、小さな町に久々のにぎわいをもたらした(2015年4月、同県八頭町の八東駅で)
鳥取県東部を走る第3セクター・若桜鉄道が2015年4月に行った「SL走行社会実験」には多くの人が詰めかけ、小さな町に久々のにぎわいをもたらした(2015年4月、同県八頭町の八東駅で)

 それでも、鉄道には「鉄道だからこそ」の要素がある。

 例えば、鉄道に乗ることが好きな「乗り鉄」をはじめ、鉄道写真を撮る「撮り鉄」、駅舎をめぐる「駅鉄」。さらに、切符を集める「切符鉄」、駅弁を楽しむ「駅弁鉄」、列車の駆動音や構内放送などの音を収録する「音鉄」など、日本の鉄道ファンの裾野は広い。鉄道があるから来るという人は確実にいる。ローカル線には、地域に人を呼び込むポテンシャルがあると言えるのだ。

 人口3000人の鳥取県若桜町に本社を置く若桜鉄道。2015年に沿線で行われた「SL走行社会実験」では、全国から1万3000人もの人が集まり、地域への経済効果は推定で1805万円に上った。

 また、鉄道会社の経営者に「鉄道とバスの違いは何か」と尋ねた際、「鉄道があれば、地図に路線名や駅が載る。その広告効果は非常に大きい」と口にする人が多かったことは印象的だった。

 

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44449 0 深読み 2018/10/07 07:00:00 2019/01/22 16:15:14 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181005-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

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