ハワイ噴火…戻った平穏、残った爪痕

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国立公園閉鎖の打撃……

 ハワイボルケーノ国立公園は、ハワイ島観光の目玉だ。年間1億6600万ドル(約185億円)もの経済効果を生んでいる。134日間に及ぶ閉鎖で観光が主産業の一つであるハワイ島の経済は大きな打撃を受け、島の大手観光会社「ジャックス・ツアー」が廃業を余儀なくされるなど、大きな爪痕を残した。

ハワイボルケーノ国立公園は一部再開され、大勢の観光客でにぎわっている(9月)=筆者撮影
ハワイボルケーノ国立公園は一部再開され、大勢の観光客でにぎわっている(9月)=筆者撮影

 溶岩流の動きが激しかった5月頃には、「ボルケーノ国立公園の入場再開は不可能か、あるいは再開まで数年はかかるだろう……」との予測も飛び交っていた。しかし、奇跡的に年内再開が実現した。

 9月22日には、マグマが流出しきって全く別の姿になったハレマウマウ火口をひと目見ようと、開園前から多くの人が詰めかけ、今はふたたびにぎわいを取り戻している。国立公園敷地内にあるホテル「ボルケーノ・ハウス」も、10月中にはすべての業務を再開する予定だという。

 ハワイ島の観光産業は、元の姿を取り戻しつつあるといっていいだろう。

センセーショナルな報道で誤解招く?

 今回の「溶岩流騒動」は、筆者にとって「報道のあり方」を考えさせられる良い機会にもなった。

 確かに、溶岩流によって重傷を負った人もいたし、避難を余儀なくされた住民も大勢いた。先述の通り、再開不能なほど甚大なダメージを受けた観光地があったのも事実だ。

 とはいえ、アメリカ本土や日本を含む海外のメディアは、連日のように真っ赤な溶岩流のセンセーショナルな映像や写真を繰り返し取り上げた。SNS上などでは州都ホノルルのあるオアフ島を含め、ハワイ州全体が危険な状態にあるかのような誤解が一部で広まっていた。

 筆者は、かつて日本のメディアで写真記者を務めていた。そして今、キラウエア火山の近くに住み、生活を続けている。キラウエア火山のもとで暮らす住民の一人として、センセーショナルな報道によって生み出される誤解には胸を痛めた。そして、その傾向は、SNSだけではなく、アメリカの大手報道機関も同様だった。

 インターネット上に情報が溢れている時代。ネット社会の進展は、小さな出来事が「大げさ」に伝えられる要因ともなっていると感じている。その大元となるのはメディアの報道で、事実の切り取り方、情報の加工の手法はメディアによって様々だ。そういった「フィルター」を通した情報と個人がどう向き合うか。真剣に考えるべき時代が訪れていると思う。

 ハワイ島は落ち着きを取り戻し、キラウエア火山も、たまっていた溶岩流が流れきったため、これまでとは別の姿を見せている。「生まれ変わったハワイ島」を日本の人たちにぜひ見に来てほしいと願っている。

プロフィル
石川 結雨子( いしかわ・ゆうこ
 ハワイ島在住の写真家・メディアコーディネーター。1974年、東京生まれ。米オハイオ大学卒業。日本の新聞社で写真記者として勤務した後、独立。2008年にハワイ島へ移住。ハワイ島を取材する日本のメディアのコーディネートや、広告や雑誌などの写真撮影を手掛ける。このほか、ハワイ島でフォト・エージェンシー「 三日月カメラ 」を主宰。インスタグラムは こちら

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45254 0 深読み 2018/10/10 07:00:00 2018/10/10 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181009-OYT8I50012-T.jpg?type=thumbnail

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