男女差3000万人、中国の結婚できない男たち

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「剰男」が引き起こす三つの現象

 そうなると、大量の「剰男」たちはどうなってしまうのか? いま中国で、三つの新しい潮流が起こっている。

 第一に、国際結婚の増加である。私は週に1度、明治大学でアジアの国際関係論を講義しているが、300人の学生の中に、中国人留学生が約50人いて、多くの男性中国人留学生たちの彼女は日本人女性である。いまの中国人男性は、外国人女性と付き合ったり、結婚したりすることに、まったく違和感を持っていないのだ。

 中国の農村部で増加しているのが、中国人男性とアフリカ生まれの女性との結婚である。9月3日、4日に、習近平主席が北京にアフリカ53か国の国家元首らを招いて、「中国アフリカ協力フォーラム北京サミット」を開催、600億ドル(6.6兆円)もの新たな援助を発表した。中国とアフリカを組み合わせた「チャイナフリカ」という言葉もあるほどで、リッチな中国の男性は、アフリカ人女性たちの間で憧れの的だという。

増える同性カップル

 第二に、同性愛者の増加である。私は毎年5回ほど、中国を訪れているが、最近多くなったと感じるのが、男性同士のカップルである。もしくは以前からいたが、今になって堂々と表に出て来るようになったのかもしれない。

 北京首都国際空港から市内へ向かうモノレールの中で、ラブラブの男性カップルを見たし、「温泉」と呼ばれる入浴施設に仲(むつ)まじく来ている男性カップルもいた。都市部にはゲイバーもできていて、盛況である。200万人を擁する人民解放軍には、少なからぬ同性愛者がいると教えてくれた中国人もいた。

スマホ依存で「空巣青年」に

アリババが仕掛けた「独身の日」の記念セールは年々過熱している(2017年11月11日、中国・上海で)
アリババが仕掛けた「独身の日」の記念セールは年々過熱している(2017年11月11日、中国・上海で)

 第三は、これが最も大きな問題かもしれないが、「空巣青年」(コンチャオチンニエン)の増加である。何やら物騒なネーミングだが、日本語の「空き巣」とは無関係。親元から離れて都市部で一人暮らしをし、休日に他人と交わらず、狭い自室に閉じこもって、日がなスマホをいじっている青年たちを「空巣青年」と呼ぶのだ。一人っ子世代の「スマホ中毒青年」と言い換えてもよい。

 「空巣青年」の急増により、「孤独経済」という言葉も生まれ、巨大な市場になっている。最初に市場をつくったのは、電子商取引大手のアリババで、2009年から、「1」が四つ並ぶ11月11日を「お一人様の日」に定め、「お一人様が主役となる24時間セール」をネット通販で始めた。昨年は24時間で、1682億元も売り上げた。日本円にして、約2兆7500億円! これは楽天の2017年の年間流通総額の8割にあたる。

 ともあれ、一人っ子政策による「剰男」の急増は、中国社会をじわじわと変えつつある。北京に住む38歳の知人の「剰男」は言った。

 「自分たちは『剰男第一世代』とか言われているが、まったく気にしていない。だってこの町(北京)では、離婚率がすでに4割を超えていて、結婚したからといって幸せが訪れるとは限らないんだから」

プロフィル
近藤 大介( こんどう・だいすけ
 1965年生まれ。東京大学卒業、国際情報学修士。講談社入社後、中国、朝鮮半島を中心とする東アジア取材をライフワークとする。講談社(北京)文化有限公司副社長を経て『週刊現代』編集次長、特別編集委員、「現代ビジネス」コラムニスト。明治大学国際日本学部兼任講師(東アジア国際関係論)。『未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること』(講談社現代新書)など著書多数。


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46172 0 深読み 2018/10/14 07:00:00 2019/02/12 16:11:09 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181012-OYT8I50066-T.jpg?type=thumbnail

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