日本のシングルマザーの貧困率が突出して高い理由
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わが国日本は、GDP(国内総生産)で米国、中国に次ぐ世界3位の「経済大国」だ。しかし、その陰では、「シングルマザー」世帯の貧困が先進国でも突出して深刻なのはご存じだろうか。子どもの金融教育を手掛ける企業「マネネ」(東京)のCEO(最高経営責任者)で、貧困問題にも詳しい森永康平氏がその理由を読み解く。
「経済大国」なのに…
日本は豊かな国だろうか。GDPで中国に抜かれたとはいえ、まだ世界3位。れっきとした「経済大国」である。
データを見ずとも、日本は先進国に数えられると考える人も多いはずだ。むろん、G7(先進7か国)の中にも日本は含まれており、世界各国からもそのように認識されているだろう。
しかし、データを「深読み」していくと、意外な事実が浮き彫りになる。
ひとり親世帯の貧困「先進国で突出」
厚生労働省の発表した2016年度の「全国ひとり親世帯等調査」によると、日本には約142万の「ひとり親世帯」がある。内訳は、父子世帯の約18万7000世帯に対し、母子世帯はその6倍以上、約123万2000世帯に上る。ひとり親世帯の9割近くが母子世帯だ。
注目すべきは、その経済的困窮ぶりだ。OECD(経済協力開発機構)の調査では、ひとり親世帯で、なおかつ親が就業している場合の相対的貧困率(全国民の所得の中央値の半分を下回っている割合)は、日本が54.6%と先進国では頭一つ抜けている。
世界でも有数の経済大国にもかかわらず、なぜここまでひとり親世帯の子どもの貧困率が高いのだろうか。
