日本のシングルマザーの貧困率が突出して高い理由

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生活が厳しくなる理由とは……

 ここまで、政府の統計データを基に、日本でシングルマザーの生活が厳しい理由を見てきた。しかし筆者は、ほかにも要因は複数あると考えている。

 まず、指摘したいのは日本にはベビーシッターの文化が浸透していないことがある。

 理由は複数あると考えられるが、何より大きいのは、ベビーシッターのサービスを受けるための価格が高いことだろう。

 ベビーシッターの1時間当たりの利用料は、一般的に1000~4000円程度は相場だ。さらに、交通費などの料金が加算される。

写真はイメージです
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 仮に、1時間2000円程度としよう。1日8時間、週5日間利用するとなると、交通費などを除いても1か月でなんと35万円ほどかかってしまう。年間だと420万円。ほかにも家賃や食費、光熱費などの生活費がかかるだから、これでは母子世帯だけでなく、夫婦共稼ぎの世帯でも支払うのは難しい。

 さらに、「利用したい日の1週間前に要予約」といったケースも多く、「使いたい時にすぐ使える」サービスは少ないのが実情だ。

 行政も、これを社会問題ととらえ、東京都が待機児童となっている子どものいる家庭を対象に、ベビーシッターの利用料の大半を補助する制度をスタートしたり、企業が社員向けの補助制度を整備したりするなど、利用促進に向けた支援が拡充されつつある。

ベビーシッターに対する「精神的障壁」

 しかしながら、筆者が実際に複数のシングルマザーにベビーシッターを活用するかどうかについて聞いてみたところ、否定的な答えが多かった。費用の面より、気持ちの面で活用をためらうケースも多いようなのだ。

 自分が自宅にいない時、ベビーシッターという「他人」に子どもと一緒にいてもらうことや、保育園に迎えに行ってもらうことに対し、「抵抗感がある」というのだ。

 筆者は、インドネシアやマレーシアなどアジア各国でビジネスをしてきた。そこで見たのは、いわゆる「新興国」でも自宅で子守りもしてくれるメイドを雇うことが一般的になっている国があるという現実だ。メイドを雇えば、ひとり親世帯でも、母親はフルタイムで働くことができる。

 台湾にも2年弱住んでいたのだが、インドネシアやベトナムから、メイドやベビーシッターとして働いてくれる人を積極的に受け入れており、価格も比較的手頃だ。実際、台湾の移民局に行くとベトナム語などの通訳が常駐しており、政府もかなり力を入れていることが分かる。

 しかし、日本の母親らの意識も異なる。メイドや家政婦はもちろん、気軽にベビーシッターを利用するという環境にはなりにくいのではないかと筆者は考えている。

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440149 0 深読み 2018/10/17 07:00:00 2018/10/17 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20181016-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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