「どうせなら最下位」自虐に走る茨城と名古屋
完了しました
むしろ「47位」を強調する

まずは、魅力度ランキング6年連続最下位の茨城県が、どんなPRを展開しているかを見てみましょう。
茨城県は今年8月、自治体としては初めて、県のネットPR番組に「バーチャルユーチューバー(Vチューバー)」と呼ばれるコンピューターグラフィックス(CG)のキャラクターを採用しました。Vチューバーはここ最近、若者を中心に人気を集めています。PRへの活用事例はまだ多くありません。それなのに、事例主義でお堅いはずの自治体が、いち早く活用したことで話題になりました。
Vチューバーの「
初回に公開された動画では、自己紹介とともに、「目標は都道府県魅力度ランキング47位を脱却することです。こんなにいい所なのに47位なんておかしいと私は常々思っているんです!」と力が入ります。画面には「47位」の文字が大きく躍っています。
「そんなに強調しなくてもいいのに……」と思うほど、積極的に「魅力度最下位」をPRしているのです。
「最下位」は「禁句」のはず

PRのセオリーに照らせば、「最下位」を強調する必要はありません。
ネガティブなイメージを払拭したいならば、むしろ、最下位だった過去を人々に「忘れてもらう」ため、まったく異なるイメージ戦略に取り組まなければ意味がありません。
例えば、異物混入や賞味期限改ざんなどでイメージダウンした企業は、できるだけ早く、悪評を取り除くために、新たなイメージ戦略を繰り出します。その際、過去の悪いイメージを人々に思い起こさせる言葉は「禁句」になります。代わりに、まったく異なるキャッチコピーを前面に押し出すことで、悪いイメージを払拭しようと躍起になるものです。
そう考えると、茨城県が自治体初のVチューバーまで起用して「魅力度最下位」を強調するのは、ちょっと違和感があります。
こんなふうに、「最下位」をわざわざPRしている自治体は茨城県だけではありません。名古屋市は、さらに戦略的に「最下位PR」を行っています。