「どうせなら最下位」自虐に走る茨城と名古屋
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名古屋市の魅力度は12位

魅力度ランキングで、名古屋市の順位は決して低くありません。
それどころか、1000市区町村の順位で今年は前年の21位から大きくランクアップし、12位に躍進しました。
にもかかわらず、魅力度ランキングの発表を待たず、名古屋市は独自に調査したという「都市ブランド・イメージ調査」の結果を公表しています。
「名古屋は全国8都市で、最も市民推奨度が低く、魅力に欠けるまちで、都市イメージが確立されていない、という結果が示されました」
名古屋市のホームページには、こんな表現で調査結果の概要がまとめられています。「最下位」のインパクトは強く、せっかく魅力度ランキングで12位になったというのに、こちらの結果は見向きもされません。
「訪れたくない街」「魅力に欠ける街」「最下位の街」……。名古屋市にこんなイメージが広がるに決まっています。
「最下位」を狙った調査か?

魅力度の高い名古屋市が、別の調査でなぜ最下位になってしまうのでしょう?
名古屋市の調査は、適正に行われたに違いありません。しかし、調査対象の選び方に「最下位狙い」の意図がチラつきます。調査は、名古屋市に加え、札幌市、東京23区、横浜市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市を「主要都市」とし、各都市の住民計418人に、「買い物や遊びに行きたいと思うか」などを質問しています。
ここで名古屋市がライバルとした街は、日本を代表する観光都市ばかりです。
「名古屋」と言えば、トヨタ自動車(愛知県豊田市)やデンソー(同県刈谷市)など有力企業のお膝元であり、名古屋市内にもカゴメ、ブラザー工業、シャチハタといった名だたるメーカーが集まっています。それこそ、IT先端企業が集まるシリコンバレー(米カリフォルニア州)が、観光イメージでパリやロンドンと競うようなものです。
政令市で比較するというなら、川崎市、さいたま市、広島市などを対象に加えていれば、違った結果になったかもしれません。
つまり、名古屋市はかなうはずのないライバルを相手に、負けるに決まっている質問をぶつけて、「今年もダメでした」とPRしているのです。この調査の目的は「最下位イメージ」を仕掛けることではないか、と解釈できるのです。
観光都市を目指す名古屋市がこうした調査を独自に行い、市民の地元プライドを刺激したいという趣旨は立派です。ただ、買い物や遊びといった観光目的に偏った調査では、逆効果になりかねません。ほかの都市がとうてい追随できない「モノづくりナンバーワン」のイメージさえもズタズタにされてしまいそうです。
魅力度ランキングの好成績については口を閉ざし、「わが街は最低」というイメージを植え付けようとするのは、まさに「自虐PR」そのものです。
いったいなぜ、わざわざ「自虐PR」まで仕掛けて「魅力度最下位」のイメージを強調したいのでしょうか。さらに読み解きました。