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「どうせなら最下位」自虐に走る茨城と名古屋

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「最下位」という「伝家の宝刀」

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

 こうして自治体の本音を探ってみると、「最下位」というタイトルは、自虐PRをする上で“伝家の宝刀”であることが分かります。

 魅力度ランキングの結果は、多くのメディアに取り上げられます。

 これをチャンスとばかりに、堂々と「悔しいです」「まだまだです」と自虐を展開できます。地元に対しても、「私たちはダメな地域をともに活性化する同志です。一緒に頑張りましょうね」と呼びかけ、地域愛を育むことができます。

 ところが、このランキングで注目を集めるのは、せいぜいトップ3と最下位くらいのものです。魅力があるとされる上位にもかかわらず、8位や9位では残念ながら記憶にも残りません。同じように、下位グループとして「自虐PR」するにしても、40位や45位ではいまひとつインパクトに欠けます。中途半端な順位なら「最下位のほうがいい」という自治体もあります。

 1000市区町村の中で堂々の12位であるにもかかわらず、名古屋市が「最下位」にこだわるのは、こうした事情があるのでしょう。

外国人観光客の評価が気になる

(地域ブランド調査2018より)
(地域ブランド調査2018より)

 ただ、自治体が「最下位」にこだわりすぎると、名古屋市のように実際のイメージと異なってしまうケースが増えてしまいます。

 「魅力のある街」「住みたい街」「訪れたい街」……。最近、都市を対象とするランキングがたくさんあります。ここに登場するのは、「吉祥寺」「恵比寿」「横浜」といった常連ばかりです。これでは、トップを争う一部の街以外は名前すら取り上げられません。PRするには「自虐」に走るしかないのです。

 こうしたランキングの課題を解決する方法が一つあります。外国人観光客を対象とした調査を導入するのです。そうすれば、地方自治体はランクアップを目指して躍起になるでしょう。忖度や建前ばかりの内側の評判よりも、外からの目のほうが気になるからです。「恥をかきたくない」と考える日本人にとって、外国人からの率直な評価は切実です。

 「自虐PR」で注目を集めた自治体のPR動画にも、それは表れています。

 「自虐カレンダー」を発売した島根県は、インバウンド向けの動画では一転して、情緒豊かな浮世絵や刀鍛冶、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が愛した日本の美を紹介する記念館など、「これでもか」と言わんばかりの力の入れようです。同じ島根県の出雲市が制作したインバウンド向け動画も、神々しい出雲大社、日本海に沈む夕日、伝統工芸職人の繊細な手仕事など、ため息が出るようなシーンばかりです。とても「自虐PR」を展開した自治体の動画とは思えません。

 2016年に地元出身の武将「石田三成」のユニークなPR動画で注目された滋賀県は、インバウンド向けPR動画で、色彩に富む四季折々の琵琶湖をたっぷりと紹介しています。

 このように、多くの自治体が見る人の感性に訴えるイメージ映像を作り、積極的に外国人の誘客促進を図っています。地元住民がこうした映像を見れば、その美しさに地域の魅力を再認識するはずです。

 外国人観光客の評価を得るのに、あえて「最下位」をアピールするなんていう手は通用しません。各自治体は、それぞれの地域の宝を発掘し、真の魅力をPRすることになります。

 いつも同じような順位で「またか……」と、うんざりしていたランキングも、新たな視点を加えてみたら意外な自治体が頭角を現すかもしれません。

プロフィル
殿村 美樹( とのむら・みき
 PRプロデューサー。京都府宇治市生まれ。TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「ひこにゃん」(滋賀県彦根市)、「うどん県」(香川県)など地方のPR戦略を手がけてきた。「今年の漢字」もプロデュース。主な著書は「テレビが飛びつくPR」(ダイヤモンド社)、「ブームをつくる」(集英社新書)など。


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48393 0 深読み 2018/11/01 07:00:00 2019/01/22 16:17:14 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181030-OYT8I50048-T.jpg?type=thumbnail

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