加入率減少、不要論も…「町内会」は変われるか

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助け合いは必要としている

 非常時以外でなければ、住民は「地域とのつながりは希薄で良い」と考えているのかというと、必ずしもそうではありません。2017年に内閣府が行った「社会意識に関する世論調査」で、「望ましい地域での付き合いの程度」を聞いたところ、「住民全ての間で困ったときに互いに助け合う」と答えた人の割合は41.5%、「気の合う住民の間で困ったときに助け合う」は26.1%で、6割を超える人が何らかのかたちで住民同士、困った時に助け合いたいニーズがあることが分かりました。

「ゴミ屋敷」問題はなぜ片付かないのか

 町内会がこうした住民ニーズの受け皿になるはずですが、現状ではその役割が十分に認知されているとは言い難く、このミスマッチが町内会加入率の低下の一因になっていると考えられます。多くの人が町内会に加入していた昭和のやり方を、今の時代や住民のニーズに合わせて変えていくことも必要でしょう。

お金の管理は複数で

 町内会が何をしているか、よく知らない若い人や、ネットで不要論を訴える方の理解を得るために、まず大切なのはお金の流れをクリーンにすることです。

 特に旅費や飲食費に関しては、住民の不信感を生まないように、それが何のために行われるのか、金額が内容に見合っているのかを正しく伝えることが必要です。旅費規程や会議の茶菓代、飲食費に一定の条件を設け、会議議事録や領収書などの提出を求め、「親睦会や旅行」などは一定数の会員、例えば、会員の何割以上が参加しないものは町内会主催ではなく、有志の企画とするなどの、ルールを定めるのもいいでしょう。

 また、1人が自由にお金を扱える状況では、横領や不正支出を防げません。町内会費の「通帳」「印鑑」「カード」の所有者を分けることも対策の一つです。

“行政の下請け”からの脱却

 行政から委託される事業も言われるままにただ請けるのではなく、それが主となってしまい、本来あるべき活動ができない場合は取捨選択したり、行政に意見や要望を伝えて改善を求めたりすることも時に必要ではないでしょうか。そもそも、町内会は住民の要望を行政に伝えるパイプ役も果たす組織なのです。

最小限の活動、町内会同士の連携も

画像はイメージです
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 住民アンケートなどで意見を集約し、活動を統廃合して住民が負担なく参加でき、メリットを共有できるスタイルにするのも一つの方法です。中には、住民の総意で回覧板を廃止した町内会もあります。

 親睦や交流名目のイベントは会員が企画して運営し、町内会費の支出を伴わないボランタリーな活動にして、防災や防犯活動に特化するのも良いでしょう。

 会員数の減少により、単独では防災訓練もお祭りもできない地域が増えています。そうした地域では、複数の町内会で連携して防災組織を作ったり、お祭りやイベントを共同開催したりするところもあるなど、町内会同士で支え合う取り組みも始まっています。他の地域にとっても先進例になると思います。

 町内会は住民や行政にとっても大切な機能、役割があります。時代に即した新しい形に変えることが必要になっています。

プロフィル
水津 陽子(
すいづ・ようこ
 島根県生まれ。高校卒業後、石油会社、官公署、税務会計事務所勤務などを経て、1998年、経営コンサルタントとして独立開業。地域資源を生かした地域ブランドづくり、観光振興、協働推進など、地域活性化・まちづくりの講演、企画コンサルティング、調査研究及び執筆活動を行っている。合同会社フォーティR&C代表、地域活性化・まちづくり、経営コンサルタント。著書に『運営からトラブル解決まで自治会・町内会お役立ちハンドブック』(有楽出版社)、『日本人だけが知らない「ニッポン」の観光地』(日経BP社)など。

 



 

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