東大もネコである…文学、医学から雑学まで大特集

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紙で発行することの大切さ

東大の様々な「顔」を紹介してきた淡青
東大の様々な「顔」を紹介してきた淡青

 ――「猫号」の巻頭で須田室長は「東大の広報誌にあるまじきテーマのゆるさに恐々としていました」と語り、東大らしくないと認めています。やはり、多少は「狙った」面もあったのでしょうか。

 私も本当は「東大らしい」広報誌を作るつもりだったんです。けれども、どうしても「東大がやることだから小難しいに違いない」という印象を持たれがちで、「いかにも東大」ばかりでもよくない。我々が進める研究には、身近に生かされているものもたくさんあって、そういうことにも興味を持ってほしかった。ただ、「なぜ犬じゃないの」と聞かれることもあります。(農学部の上野英三郎博士が飼っていたため)東大というとハチ公のイメージが強いんでしょうか。

 ――ネット社会の現代、東大でも広報誌を完全電子化するべきだという声は時々出てくるそうですね。それでも紙のメディアで発行することは不可欠だと須田室長が考えるのはなぜでしょう。

 現代ではウェブは重要なメディアで、SNSも大きな役割を持っています。そういう中で、紙の広報誌が必要なのは、やはりウェブだと一度に(画面上で)見られる情報の分量が限られてしまうから。その少ない分量で読者の気持ちをつかんで、見てもらわなければいけない。

 さらに言うと、ウェブは読者が主体的に選ぶメディアであって、自分の好きなものばかりを見る世界です。そういう中ではこちらが発信したい内容は伝えきれないのではないか。だから紙という形は欠かせないのです。

 ――少子化の影響などで、大学を取り巻く環境は厳しいものです。国の補助金が減少傾向にある中、これまで以上に寄付金獲得などの努力を迫られています。大学の価値をいかに示すかという意味で、広報活動の重要性は増しています。

 今年、国内の大学としては初めて「統合報告書」を作成しました。財務情報だけではなく、研究や教育、社会連携などの組織活動を見える形で提示しています。透明化を進め、東大がどういう立場にいるのかを学内外に知らせて「応援してもらう」ためです。いろんな形で自助努力が必要です。

 広報活動もその一環です。東大の研究能力や総合大学としての長い歴史という資産を発信することが重要です。ですから、「猫号」は思いがけない成果を生みましたが、個人的にはこういう路線を継続したいとはあまり思っていません。一般の人に東大が何をしているのかを伝える努力は必要ですが、東大としてその時々に合わせて発信しなければいけないテーマがあるからです。

 ――とはいえ、「猫号」があったからには「犬号」もという声が出てくるかもしれません。猫についても、猫の(びん)(しょう)性とロボットの研究など、今回の号では紹介しきれなかった内容もあるそうですが、今後が気になります。

 今回の「猫号」は私にとってはチャレンジでした。一般の人に「ちょっと難しい」と思われる内容もあったと思いますが、それも含めて東大の持つ文理の力を発信できた。結果的にはよかったと思っています。

 東大を「東京にある大学」という縛り方はしたくありません。35号の「地域と東大。」などを見ても、いろんな地域と意外なつながりがあります。大学の使命として、世界的な研究や学生の教育など果たすべき役割は多い。それを紹介する切り口は、いろいろあるでしょう。東大からの発信に適切な題材と判断すれば、「猫号第2弾」や「犬号」もあるかもしれません。

プロフィル
須田 礼仁( すだ・れいじ
 1968年、京都府生まれ。情報理工学系研究科教授。91年東京大学理学部情報科学科卒業、96年博士号取得。名古屋大学講師、助教授を経て、2002年に東京大学大学院情報理工学系研究科助教授。10年より現職。専門は情報科学。

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