座れない、すぐに遅れる…直通運転に異議あり!
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乗り換えずに遠くまで行ける鉄道会社間の直通運転が、関東を中心に盛んだ。反面、1か所の事故や遅れが広範囲に広がる、始発駅が途中駅になったため座れなくなった、居眠りしていたらとんでもない所へ連れて行かれたなど、弊害も目立ってきた。日本政治思想史が専門で、鉄道にも造詣が深い原武史・放送大学教授に聞いた。(聞き手 メディア局編集部次長 室靖治)
ハロウィーン混雑の背景にも?

ハロウィーンの10月末、渋谷駅前は仮装した人でごった返し、大変な騒ぎでしたね。集まる人の数は年々、増えているようです。私はこの背景に、直通運転が大きくかかわっていると見ています。
東急東横線は5年前、渋谷駅の地下で東京メトロ副都心線とつながりました。これにより、みなとみらい線の元町・中華街駅と、東武東上線の森林公園駅、西武池袋線の飯能駅が、乗り換えなしで行き来できるようになったわけです。JRの湘南新宿ラインを使えば、北関東からも渋谷へ1本で行けます。渋谷までの利便性が高まり、集まる人々の居住地も、かなり広範囲にわたるのではないでしょうか。
関東の鉄道会社は、直通運転に力を入れてきました。背景には、通勤時間帯の激しい混雑がありました。私鉄各社にとって、旧国鉄や地下鉄との乗換駅である新宿、渋谷、池袋などはどこも乗降客数が多い。いったん電車から降り、乗り換えてホームで並び直す手間をなくせば、サービス向上になると考えたのです。