ゴミ屋敷の清掃現場に見る「多頭飼育崩壊」の真実
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2トントラック5台分のフンやゴミ……

山形県米沢市の4LDKの賃貸住宅を退去するので、「飼っていた猫のフンや尿の掃除をしてほしい」と依頼を受け、現場に向かったのは今年3月のことでした。
住んでいた家族はその数か月前に既に引っ越し済み。しかし、室内には10匹以上の猫がいて、さらには「ゴミ屋敷」と呼べそうなほどのゴミが山積みになっていました。
室内にあった菓子の袋や衣服などは破れるなどして散乱し、残っていた家具などは猫のフンや尿にまみれた状態で放置されていました。
悪臭が染みついてしまったのか、学校に通う子どもたちがかなり臭かったため、健康被害を心配した学校が自治体に報告。飼い主は自治体から必要な措置を取るよう勧告を受けたにもかかわらず、猫を置き去りにして引っ越してしまいました。ただ、転居後も、定期的に猫にエサを与えに来ていたそうです。
作業員が部屋に入ると、部屋全体に猫のフンや尿が染みつき、臭気レベルもかなり高く、まずはそれらを撤去する作業から始めました。窓の清掃のため、ガラスを外すとレールに大量のフンが詰まっていたといいます。
16畳の広いリビングにゴミ袋を集めると、天井付近まで積み上がりました。その量、なんと2トントラック5台分。そんな劣悪な環境で数か月間過ごしていた猫たちですが、エサはちゃんと与えられており、群馬の例と同じく、痩せている猫はいませんでした。しかし、清掃後に飼い主は「増えすぎて、もう飼うことができない」と、すべての猫を捨ててしまったそうです。
清掃業者の苦悩……
望月さんは「孤独死や火災現場などの特殊清掃も手掛けていますが、最も壮絶なのがペットのフンや尿にまみれた現場です。強烈な臭気が充満し、現場に足を踏み入れることさえできないときもあります。こびり付いたフンや尿を撤去する作業も一筋縄ではいきません」と話します。
賃貸住宅の場合は、修繕費を巡って裁判になることもあります。Freeeの担当者が「なぜこんな状況になってしまったのか」と依頼主に尋ねると、多くの場合、「猫を飼うのがこれほど大変だとは思わずに飼ってしまった」という答えが返ってくるそうです。