各社縦割りでイライラ…JRきっぷのネット予約
完了しました
JR西のシステムに注目

これらJR東海側の都合は、利用者にすれば結構不便です。「エクスプレス予約」(年会費1080円)や、その発展形「スマートEX」(年会費不要)は通常のきっぷより割安に設定されています。ただしそれは、東京―新大阪の話。新幹線に乗る前と降りた後にJR線を利用する場合は、別にJR運賃がかかるため、かえって割高になることがあります。JR東海の予約サイトには、通常のきっぷと比べる「運賃ナビ」がありますが、あいにく知名度が高いとは言えません。
JR東日本も同じく01年にネット予約サービス「えきねっと」を始めました。当初は新幹線のみでしたが、今は在来線を含むほぼ全列車に適用されています。ただし、こちらもJR東日本の窓口でしか受け取れません(JR北海道や、JR西日本の北陸新幹線停車駅などでも一部可能ですが)。そこで再び、明和電機・土佐さんが困った経験談です。
「えきねっとで予約して東京駅の日本橋口のみどりの窓口にいったら、『八重洲北口じゃないと発券できません』。(略)こっちは急いどるからネット予約しとるんじゃああ!」。土佐さんが駆け込んだ日本橋口の窓口は、JR東海の管轄だったのです。
北陸新幹線ではできるのに……

対照的に、JR西日本の「e5489」(いいごよやく)は便利です。北陸新幹線のJR西日本管内の停車駅などでは、他社であるJR東日本、東海、九州の、ネットで予約した全てのきっぷも受け取れるからです。さらにJR西日本とJR九州の予約システムは、コンビニ・金融機関での支払いも可能。これはクレジットカードを持てない学生などにとってはありがたいサービスです。
ここまで読んでお気づきの方もおられるでしょう。「北陸エリアの一部の駅で受け取れるなら、すべての駅で可能なのでは?」
技術上はその通りです。そもそも指定席券売機や「みどりの窓口」の発券端末は、すべてJRシステム(正式には「鉄道情報システム」)という会社が供給し、JR6社で使われています。さらに西日本・北陸エリアのみですが、4社のシステムを受け取れるソフトも既にあるのです。つまりネット予約したきっぷを、予約した会社とは関係なく全国で受け取ることは、ソフト改修などをすれば難しくないはずです。
利便性を高めるため、国土交通省も動き出しました。2月に首相官邸で開かれた「観光戦略実行推進タスクフォース」で、「鉄道分野におけるインバウンド受入環境整備について」と題した資料が出されました。私はこの中にある「将来、予約ページの共通化等を図ることとし、そのための検討を開始するとともに、インターネット予約環境の一層の充実やキャッシュ・レス化を推進」という一節に注目しています。