保育園無償化は大丈夫?厳しい保育士不足の真相

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無償化は「高所得者向け」の制度?

 このように、キーパーソンである保育士たちの悩みを抜本的に解決できぬまま進められるのが、今回の保育料の無償化だ。筆者は別の面でもこの制度には疑問を抱いている。それは恩恵を受けるのが主に高所得世帯であるという点だ。

 本来、保育のような「福祉」は経済的に困窮している家庭を救うべきものとされるが、この制度はそうなっていないように見えるのだ。

 政府が作成した「子ども・子育て支援新制度ハンドブック(施設・事業者向け)」を見てみると、3歳未満の子どもの保育標準時間(11時間まで)の場合、国が定める利用者負担の上限額の基準(月額)は生活保護世帯だと既に無償化されており、住民税非課税世帯は9000円。つまり、3歳未満に関しては、新制度で無償化されるのはこの住民税非課税世帯の9000円だけだ。

政府の子ども・子育て支援新制度ハンドブック(施設・事業者向け)より
政府の子ども・子育て支援新制度ハンドブック(施設・事業者向け)より

 一方、3歳以上の場合、現状は生活保護世帯は同じく無償、住民税非課税世帯は上限額が6000円なのに対して、所得の高い世帯の最高負担額は10万1000円に上る。幼稚園と認定こども園(幼稚園併設の保育園)を利用する場合はこれに最高で2万5700円が上乗せされる。来年10月からこれらがすべて無償になるということだ。子どもが3歳以上ならば、高所得世帯が圧倒的に大きな恩恵を受けるといっていいだろう。

 さらに、日本ではすでに幼稚園や認可保育園などの大半の施設で、家庭の所得に応じた保育料の減免措置が設けられている。結局のところ、新制度によって必ずしも世帯所得が低い家庭がより大きな恩恵を受けることにはなりそうもないのだ。

 さらに、無償化で保育の需要がますます高まるのは自明だ。しかし、保育士の「供給」を増やす施策がほとんどなされていないのは、すでに述べた通りだ。供給が追い付かないまま保育の需要が高まれば、待機児童がさらに増える恐れもあるうえ、保育の質の低下にもつながりかねない。最終的には子どもにしわ寄せが及んでしまうのではないかと筆者は危惧している。

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51558 0 深読み 2018/11/28 07:10:00 2018/11/28 07:10:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181126-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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