完了しました
どうなるシューズメーカーの勢力図

かつてIAAF(国際陸上競技連盟)のルールに「バネを使ってはいけない」という条文があったこともあり、一部では「ドーピングシューズでは?」という声も挙がっている。2008年の北京五輪で「高速水着」として注目され、その後、国際大会での着用が認められなくなった「レーザーレーサー」の一件を思い出す人もいるかもしれない。しかし、ナイキは生産段階で、IAAFのチェックを受けており、現状は問題ないと見ていいだろう。他メーカーを履いていた選手も厚底シューズに興味を示しており、ナイキに履き替えたトップ選手も出てきている。
男子マラソンの世界記録は2007年のベルリンでハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)が2時間4分26秒をマークしてから、10年以上もアディダスを履く選手たちが保持してきた(4回にわたり記録を更新)。
それが、今年9月のベルリンでナイキを履く怪物に大きく塗り替えられた。しかも、ベルリンでは、アディダスの看板ランナーである元世界記録保持者のウィルソン・キプサング(ケニア)ですら勝負にならなかった。世界のマラソン界はナイキの「1強」状態になりつつある。
その中で、シューズメーカーのニューバランスは、厚底に対抗するかのように、伝説のシューズ職人・三村仁司氏が“薄底”の「NBハンゾーV2」を開発(同モデルは神野大地が使用)。長年、日本代表ランナーを支えてきたアシックスは、今夏のアジア大会で金メダルを獲得した井上大仁(MHPS)をサポートしており、追撃の構えを見せている。
国内のシェア(占有率)争いはどうなっていくのだろうか。2020年東京五輪の代表選考会として、来年9月15日に開催されるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)は、シューズメーカーの戦いからも目が離せない。




