3億円事件半世紀…「警官の息子犯人説」の舞台裏

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「警官の息子犯人説」の舞台裏

犯行に使われた偽白バイを調べる捜査員
犯行に使われた偽白バイを調べる捜査員

 3億円事件を振り返るときに必ずと言っていいほど注目される「説」がある。事件後に自殺した現職の白バイ警官の息子(当時19歳)を犯人とするものだ。実際、捜査本部は当初、この少年に注目していた。支店長宅に届いた脅迫状の切手から割り出された血液型や脅迫状の筆跡が一致せずに「シロ」と判断されたが、この少年は車の窃盗を繰り返し、オートバイの運転も上手く、白バイに詳しかったこともあり、共犯者がいれば犯行はありえたとする見方もあった。田中さんはどのようにこの説を受け止めていたのか。

 

 「3億円の現金は、積み重ねれば高さ4メートル超にもなり、これを隠すだけでも大変だったはず。少年の家はそう大きくはなかった。少年が死亡した後に警察は家を調べたが、現金は見つかっていない。少年の足取りも徹底的に調べたが、事件につながる情報はなく、事件前日の夜は新宿で飲んでいたという情報もあった。私は単独犯説だから、複数の犯行車両を現場近くに準備しなければならなかったのだから、前夜にこうした行動をとっていたとしたら、犯行は難しかったと思う」

 

 しかし、この説をモデルにしたとみられる小説が出版されたり、ドラマがたびたび放映されたりして、「警官の息子犯人説」は世の中に広まっていった。

 

偽白バイには写真と同じクッキー缶が使われた
偽白バイには写真と同じクッキー缶が使われた

 「発生当初から、毎日のように怒鳴(どな)り声の飛び交う警察署に通い、現場をはいつくばるように取材して私が描いた犯人像は、少年とはかけ離れていて、ピンとこなかった。私が感じたのは、頭が良く、偽白バイにクッキー缶を使うなど日曜大工が上手い、庶民的な人物像だった。作家らが『少年を犯人』と推理し、それに関する書籍やドラマが発表されて支持を得たのは、現職警官の息子で、事件後すぐに亡くなっているなどの要素があり、『劇場型犯罪』に似合った『ドラマ性のある犯人像』だったことを強調した結果だと思っている。あやしいとされた人は何人もいたが、事件発生から時間がたつにつれ、『世間のウケを狙った』この説だけがもてはやされたのではないか」


 

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52846 0 深読み 2018/12/07 07:00:00 2018/12/07 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181205-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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