睡眠ビジネス活況…それでも眠れない日本人のナゼ
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就寝中の脳波に働きかけて深い睡眠の質を高めようとするヘッドセット、リラックス効果のある音、光、香りを演出するデバイス――。テクノロジーの力で、快適な睡眠を実現しようという試みが活発化し、世界中の企業が睡眠市場に乗り出している。にもかかわらず、日本人がどんどん眠れなくなっている実態が統計から明らかになった。快眠を妨げているのは何か。睡眠改善に詳しいフリーライターの鈴木麻里子氏が解説する。
睡眠改善ビジネスが活性化してきた

睡眠を自動的に記録するウェアラブルデバイス、光で起床を促す目覚まし時計、眠りやすくする抱き枕タイプのロボット、いびきを止める製品や気にならなくするノイズキャンセリング機能付きイヤープラグ、体内時計を調整して時差ボケを解消するためのメガネ……。
これらはすべて、睡眠改善のために開発されたもの。こういった個人向けの睡眠改善デバイスは年々増加しています。最近では、ふとんの中の温度や湿度を適切な状態に保つことで入眠を促し、快眠を実現しようという寝具も登場しています。
睡眠不足は脳が休息できず、体のメンテナンス機能が十分に働いていない状態です。慢性的な睡眠不足は肥満、免疫力の低下、血圧上昇、生活習慣病(高血圧、糖尿病、歯周疾患、心房細動、脳卒中、虚血性心疾患など)のほか、認知症の発症リスクを高めることもわかっています。
本当の意味でストレスを解消するためにも十分な睡眠が必要なため、睡眠不足のままでは精神的に不安定な状態になりやすくなります。長期間眠れない状態が続けば、うつ病などメンタルヘルスに大きな問題を抱えることにもなりかねません。
睡眠に関する研究や調査が進んでエビデンスが蓄積されはじめ、睡眠が体と経済に与える影響が明らかになるにつれて、世界中の企業が睡眠について注目しはじめました。毎年ラスベガスで開催されるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)には、2018年から睡眠に関する製品を専門に展示する「スリープテックゾーン」が登場しています。
