睡眠ビジネス活況…それでも眠れない日本人のナゼ

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それでも日本人が眠れないのは?

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 睡眠について、当人が問題だと思わなければ、どれだけサービスやデバイスが増えても使われないのが普通です。本人が睡眠不足を自覚できていない例も多いのではないでしょうか。筆者の周りでは、寝ても疲れが取れないなど、体力の衰えを感じ始める年齢になって初めて、自分が寝不足であることに気づき、睡眠に意識が向くケースが多いようです。つまり、睡眠不足を自覚していない人が多いようなのです。

 高校生の頃、今思えば睡眠不足が原因と思われる不調で消化器内科を受診したところ、私の睡眠時間が5時間だと知った医師は「受験生なのに十分寝ているじゃないか」と言ったのです。

 日本には、4時間睡眠でがんばれば合格し、5時間寝ていたら落ちるという意味の「四当五落」という言葉がありますが、まさにそれを地で行く発言でした。睡眠時間を削って頑張ることが当たり前だとされていたのです。

 かれこれ30年も昔の話ですが、眠りや体の不調について一般人よりは知見があるはずの医師でもその程度の認識だったわけです。睡眠のメカニズムはいまだに解明されておらず、研究段階なので、当時の医師を責めることはできません。しかし、このやり取りを経て、その後の私が「睡眠は5時間で十分」と思い込むようになったのも事実です。

 睡眠に関する研究が進んでいる今は、「寝る子は育つ」ならぬ、「寝る子は受かる」が実態であるとわかってきています。「あのときしっかり眠っていれば自分はもっとパフォーマンスを発揮できたのでは……」と、今とは違ったかもしれない自分の姿を思うと悔やみきれません。

 社会人になってから睡眠の知識を得ることも大事ですが、すでに固定されたライフスタイルの中で習慣を改善していくのは非常に大変です。ゆえに、「○○するだけでOK」といった、自分に都合のいい情報だけを()()みにしがちになり、結果的に根本的な改善にはたどり着けなくなります。

 日本人の睡眠時間は世界ワーストワンですが、昼間に眠気を感じず、意欲的に活動するに足りているなら問題はないはず。しかし、実際はそうではありません。社会環境、生活環境すべてにおいて睡眠を阻害する要素が多いのが現代社会。「自分の眠りを疑え!」くらいの精神でもいいかもしれません。

 そしてもっとも大事なのは、子どもの頃から睡眠時間を大切にする習慣を身に着け、睡眠が健康に及ぼす影響に関する教育をしっかり行うことでしょう。親の睡眠に関する知識と生活習慣が、そのまま子どもの成長と可能性に影響します。子どもの頃から親子で「眠りは美徳である」という睡眠教育に親しむことで、日本人の眠りが、ひいては社会が変わっていくのではないでしょうか。

 

プロフィル
鈴木 麻里子(すずき・まりこ)
 フリーライター。「すずまり」のペンネームで、IT、家電、モバイル、ヘルステックジャンルに関する執筆多数。震災で経験した自身の不眠経験から睡眠の重要性に気づき、睡眠改善インストラクターの資格を取得し執筆に生かす。現在はスリープテックやヘルステック、デジタルデバイスを取り入れた女性のライフスタイルに関する情報を追っている。主な著書に「iPhone仕事便利帳」(SBクリエイティブ)、「Facebook仕事便利帳―情報も人脈も得る180の活用法」(SBクリエイティブ)など。ブログは こちら

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