ここまですごい!ノーベル賞・本庶さんの素顔

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「ゴルフ場で死にたい」

在日スウェーデン大使館の祝賀会で、過去の受賞者たちから祝福を受ける本庶さん(左から2人目)
在日スウェーデン大使館の祝賀会で、過去の受賞者たちから祝福を受ける本庶さん(左から2人目)

 勉強や研究だけではない。本庶さんは趣味の充実ぶりもすごい。

 ノーベル賞の受賞決定記者会見で、報道陣から「今やりたいこと」を問われた本庶さんは「エージシュート」と答えた。これはゴルフ用語で、自分の年齢(本庶さんは76歳)以下のスコアで18ホールのコースを回ることを意味する。

 ノーベル賞の記者会見でエージシュートという言葉が飛び出すのにも仰天するが、本庶さんのゴルフに対する思い入れは有名で、受賞決定直後に愛知県の藤田保健衛生大(現・藤田医科大)で行った講演では、「ゴルフ場でナイスショットを打った後にパッタリと死にたい」とまで語っている。

 ビジネス誌の「週刊東洋経済」が03年5月に、「(たの)しむゴルフ」というタイトルで、丸ごとゴルフの臨時増刊号を出した。本庶さんは、著名人の中でもゴルフ好きの代表格ということなのだろうか。ジャーナリストの大宅映子さん、キャスターの森本毅郎さんらとともに、「私とゴルフ~思う存分ゴルフの話をしよう」というインタビューコーナーに登場している。ゴルフを始めたきっかけや練習方法から、ゴルフ道具は値段が高いという不満まで、縦横無尽に語り、インタビュー写真は心底楽しそうな表情だ。

 本庶さんによれば、研究者とプロゴルファーには共通点があるという。「自己責任でやる」「常に考えなくてはいけない」。この2点を挙げている本庶さんは、「プレーの間は研究のことも一切考えないし、完全に気分転換ができる」と語っている。

 本庶さんのこの言葉にふれて、15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授が自著で語っていたゴルフ観を思い出した。

 「ゴルフはプレー中に頭をカラッポにできるのがいいですね。科学者は研究に熱中すると、興味の赴くままに大筋からドンドンはずれて、まったくムダなことをしていることがあります。そんな時に頭の中をいっぺんカラにすると、大局にたってモノが見られるようになるものです」

 やはりノーベル賞を受賞するような優れた科学者には、研究以外の場面でも共通の思いがあるようだ。

フルート、テニス…多彩な「素顔」

文化勲章の親授式での本庶さん(2013年11月)。本庶さんはノーベル賞授賞式にも和装でのぞむ意向を示している
文化勲章の親授式での本庶さん(2013年11月)。本庶さんはノーベル賞授賞式にも和装でのぞむ意向を示している

 ゴルフだけではない。本庶さんは母校・京都大学交響楽団(京大オケ)のOBでもある。世界的な指揮者・朝比奈隆氏らを輩出した創設100年を超える名門オーケストラで、本庶さんはフルートを担当。大学時代はこのほか、英語クラブやテニス部にも所属した経歴がある。

 本庶さんは11月下旬に在日スウェーデン大使館で開かれた祝賀会で、ノーベル賞授賞式には和装で出席したいという意向を示した。夫人の着物姿は定番だが、タキシード姿ではない日本人受賞者は、1968年に文学賞を受けた川端康成以来で、これもまた楽しみだ。

 「素顔」の本庶さんは、学業から研究、遊び、そして衣装選びまで自分の信じるところを貫いてきた人と言える。「信念の人」が日本の歴代ノーベル賞受賞者リストに加わることに改めて感慨を覚える。


 

プロフィル
佐藤 良明(さとう・よしあき)
 読売新聞調査研究本部主任研究員。専門分野は生命科学、医療。科学部次長を経て現職。iPS細胞、ヒトゲノムなど最先端の生命科学や、脳死移植、新型インフルエンザといった医療の分野を中心に取材してきた。「ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム」と「読売テクノ・フォーラム」を担当している。

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52959 0 深読み 2018/12/10 10:15:00 2018/12/10 10:15:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181207-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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