外国人労働者と共生可能?「アジアの先例」実態は

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「外国人依存」はすでに進んでいる!

 今回の入管難民法の改正によって、外国人労働者が急激に増えるのでは、と考える人もいるのではないだろうか。

 だが、すでに日本の外国人労働者数は年々増加している。厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況」によれば、2017年の外国人労働者数は約127万9000人、外国人を雇用している事業所は約19万5000。いずれも過去最高を記録している。近年は、年に10万人以上のペースで増加。12~17年の5年間で、約2倍に増えているのだ。都市部のコンビニエンスストアや飲食店などに入ると、必ずと言っていいほどアルバイトの外国人の店員を見かける。その事実からも増加を実感できるだろう。

厚生労働省『外国人雇用状況の届出状況表一覧』を基に株式会社マネネ作成。各年10月末時点
厚生労働省『外国人雇用状況の届出状況表一覧』を基に株式会社マネネ作成。各年10月末時点

外国人実習生らの置かれた劣悪な環境

写真はイメージです
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 日本で働く外国人労働者たちは、どんな境遇に置かれているのだろうか。データを読み解くと、様々な問題が見えてくる。まずは、今の時点でそれらと真摯(しんし)に向き合うことが重要だと筆者は考えている。

 日本で働いている外国人の中に「技能実習生」たちがいる。技能実習法に基づき、日本の企業が海外の現地法人や取引先から社員らを受け入れたり、商工会などの団体が受け入れて、加盟する企業や団体に派遣したりする。実習の期間は最長5年間。職種は農業や漁業、繊維関連など80職種142作業に限定され、人数制限がある。

 厚労省の「外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(2017年)」では、全国の労働基準監督署などで、実習実施者(雇用主)に対して5966件の監督指導を行ったところ、70.8%に当たる4226件で、労働基準法など労働基準関係法令違反があったという。違反の内容は、長時間労働や不当に低い賃金などが多くを占めていた。

 一方で、「技能実習生が労働基準監督署に対して、(雇用主の)法令違反の是正を求めて行った申告」は89件にとどまった。雇用主との厳しい“主従関係”や、「強制退去させられるのではないか」との不安から申告に踏み切った技能実習生はほんのわずかで、法令違反の「氷山の一角」に過ぎないと筆者は見ている。

 技能実習生が失踪することも多い。法務省入国管理局の資料によると、17年には過去最高の7089人に上り、18年1~6月には4279人に達したという。聴取では、実習実施者から暴力やセクハラを受けたという証言も出た。

 衆参両院の法務委員会の野党委員が、失踪した外国人技能実習生2870人に対して昨年行われた法務省調査の聴取票を分析した結果、全体の67.6%の1927人が最低賃金割れで労働を強いられていたという。さらに、「過労死ライン」とされる月80時間以上の時間外労働を強いられていた実習生は289人。全体の1割強いたことも判明している。

 これらの実態から、技能実習生がいかに劣悪な労働環境で働かされていたかがわかるだろう。このような状況のまま、外国人労働者の受け入れを拡大しても問題はないのだろうか。外国人の受け入れで先行しているアジア各国の実態から、日本の課題について考えたい。

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56236 0 深読み 2018/12/25 05:20:00 2018/12/25 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181221-OYT8I50003-T.jpg?type=thumbnail

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