必死すぎる「インスタ蝿」…その撮影は迷惑です

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暴走族は「チンソウダン」

(福岡中央警察署作成のポスター)
(福岡中央警察署作成のポスター)

 こうした羞恥の喚起を応用した試みとして、インターネット上の掲示板で、かつて「暴走族を〈珍走団〉と呼ぼう」と提案する動きがありました。

 これは、暴走行為が「恥ずかしい」ものであることを世間にアピールし、羞恥心を喚起させる興味深い方略だと思います。

 暴走族のメンバーは、爆音をまき散らす改造バイクや、派手な刺繍(ししゅう)の特攻服を「イケテル」などと考えています。そうでなければ、改造バイクに乗ろうとも思わないでしょうし、ああいう格好をしようともしないはずです。

 珍走団という呼称は、「珍妙な格好で走っている馬鹿な連中」という、蔑称的なニュアンスを含んでいます。「チンソウダン」という響きも滑稽(こっけい)です。暴走族がイケテルなどという評価や認識を根本から否定したのです。

 この取り組みは、福岡県警のポスターに呼称が採用されたり、新聞でも取り上げられたりしました。福岡県警も「若者の間に『カッコ良くない』というイメージが広がりつつあるのではないか」と見ていたことが、当時の記事から読み取れます。

 しかし、残念ながら、現状ではこれらの呼称が広く定着したとは言いがたく、メディアでは今も、「暴走族」の名が使われ続けています。

被写体に群がる「インスタ蝿」

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

 侮蔑的な名称で行為をやめさせる方法は、呼び方を変えるだけですから極めて低コストであり、かつ自発的な抑止が期待できるという意味で、大きな可能性を秘めています。

 そういう意味では、「バカッター」という呼称もよく考えられています。

 最近では、「インスタ蝿」といった言葉で、被写体へ必死に群がる撮影者に冷ややかな目を向ける動きもあります。

 インスタ映えに命をかけるあまり、他人の迷惑を顧みない皆さんは、自分の投稿を見た第三者が、思わぬ受け止め方をする可能性、それが日本中に広がる可能性を考えましょう。

 迷惑行為を阻止するには、いろいろな立場から自身の行為を考えることが鍵になります。

 そうしないと、良かれと思った写真投稿がきっかけで、思わず目を伏せたくなるようなネーミングで辱められ、それがあっという間に世界中に拡散されることになってしまうかもしれません。

 

プロフィル
北折 充隆(きたおり・みつたか)
 1996年、名古屋大教育学部教育心理学科卒業。2001年、名古屋大大学院教育発達科学研究科心理発達科学専攻博士課程修了。金城学院大人間科学部多元心理学科教授。博士(教育心理学)。著書に、『ルールを守る心―逸脱と迷惑の社会心理学』(サイエンス社)、『迷惑行為はなぜなくならないのか?~「迷惑学」から見た日本社会~』(光文社新書)などがある。

『迷惑行為はなぜなくならないのか?』(光文社新書)
『迷惑行為はなぜなくならないのか?』(光文社新書)

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59943 0 深読み 2019/01/02 06:25:00 2019/01/02 06:25:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20181226-OYT8I50037-T.jpg?type=thumbnail

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