ストロー排除より確実…片手でできる海洋プラ削減

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微生物に分解されるプラスチックも…

――微生物によって分解されるという「生分解性プラスチック」も、環境に負荷を与えない物質として注目されています。問題解決の切り札になりうるでしょうか。

画像はイメージです
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 まだ難しいところがあると思います。よく言われるのは三つの問題です。

 一つ目は、生分解性と言っても、自然の中で急に消えるわけではなく、分解に時間がかかるため、途中で砕けて海を漂うプロセスはどうしてもあります。そうであれば、結局はMPと同じではないかということです。

 二つ目は、ある温度や湿度の下で分解されるように設計されているので、多種多様な環境下で本当に分解されるのかという問題です。

 三つ目はモラルの問題ですが、「分解されるなら」と、むしろ平気で捨てられる危険性が増すのではないかということです。

 三つ目は別として、こういったことを乗り越えられなければ、代替品としては受け入れにくいのではないでしょうか。

10万個のMPを片手で拾える?

――一時のブームでなく、持続的なプラスチック削減活動のために、私たちに何ができるでしょうか。

 最終的な解決は、新素材しかないと思います。それがどんな素材かわかりませんが、プラスチックが自然環境下では相当に長い期間をかけないとなくならない物質であり、その流出が止まらないというのであれば、新素材に切り替えるしかない。

 それまでにできることは、科学的根拠に基づいて、無理なくプラスチックを削減して、できる限り新素材の開発にかけられる時間を引き延ばすことでしょう。プラスチックは、現在の人間の生活をかなりの部分で支えている物質ですから、急激に減らすと必ずどこかに無理が出ます。

 リサイクルを増やせばいいという声もありますが、熱利用というタイプ以外のリサイクルは、プラスチックの生産量が変わらないのであれば、結果的に出回るプラスチックの総量を減らすことにはつながりません。リサイクルにも工夫が必要です。

 ただ、海の中のMPを減らすためには、地道な方法が効果的です。つまり、海岸清掃です。

 MPになってしまえば回収は不可能ですが、大きければできます。例えば海中の10万個のMPは、重量にするとおよそ10グラム。海岸でペットボトル1本(30グラム前後)を拾うということは、海面1平方キロメートルに散らばっているMPを回収したのと同じか、それ以上の効果があるわけです。

 海岸清掃にはそういう意義もあるのだということを知ってほしいですね。

 

プロフィル
磯辺 篤彦(いそべ・あつひこ)
 1964年、滋賀県生まれ。九州大学応用力学研究所教授。86年愛媛大学工学部卒業。民間企業を経て、94年に博士号取得(理学)、同年九州大助教授。2008年愛媛大学教授、14年より現職。18年から環境省の海洋プラスチックごみ研究プロジェクトのリーダーも務める。専門は海洋物理学。

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60570 0 深読み 2019/01/15 11:30:00 2019/01/15 11:30:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190111-OYT8I50084-T.jpg?type=thumbnail

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