公認会計士に税理士も?AIに奪えぬ仕事はあるか
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医療や売上データの解析、将棋の対局に至るまで、様々な分野でAIの進出が著しい。近年、「AIに仕事が奪われる」とする脅威論を唱える人も増えてきた。日本では法曹(弁護士など)と並ぶ難関資格とされる公認会計士や税理士も、その心配と全く無縁ではないという。本当にそんな日が来るのか。自らも公認会計士で、IT業界の動向などにも詳しい日本経営心理士協会代表理事の藤田耕司氏に解説してもらった。
AIに取って代わられる仕事とは?

AIや機械によって人間の仕事は奪われるのか――。
このテーマが、ここ1、2年で話題になる機会が増えた。AI化、機械化は、私自身も携わる公認会計士や税理士の仕事にどれほどの影響を与えるのだろうか。
近年、急速に進化している技術に、ディープラーニング(深層学習)やOCR(光学的文字認識)による文字認識、RPA(データの入力や集計、インターネットでの情報収集などのパソコン(PC)業務を、人間に代わって自動的に行うソフトウェア型のロボット)による事務作業の自動化などがある。
複雑な判断を伴わないPCでの単純作業は、近い将来かなりの部分が自動化されるだろう。
では、どのような仕事が「人間しかできない仕事」として残っていくのか。
筆者は、AIが進化しても自動化するのが難しい仕事として、以下の三つの要素を持つものを考えている。
【Think】……思考力・想像力が必要な仕事。パターン化しにくい複雑な動きや判断を求められる仕事、0から1を生む創造性を必要とする仕事、機転を利かせた対応が求められる仕事などがこれに当たる。相手の課題を聞き出し、それに対してコンサルティングや提案を行う仕事などが典型例と言えるだろう。
【Humanity】……人間性が求められる仕事。共感や励ましにより安心感や癒やしを与えたり、リーダーシップを発揮して人間関係を調整したりする能力を必要とする仕事だ。人間の心情として「AIや機械にはやってほしくない」仕事も含まれる。相手の立場に立って、寄り添いながら行う相談業務などが当てはまるだろう。
【Body】……「物的」・「法的」な実体が必要な仕事。前者はまだロボットなどにはできない、複雑に肉体を動かす「物的実体」が必要な仕事だ。後者は「責任」を伴う仕事や、国家資格など「法的実体」が必要な仕事だ。AIは責任の帰属主体にはなれず、資格を持つことはできない。
公認会計士や税理士の仕事は、こうした特徴をどれだけ持っていると言えるのか。それぞれの業務に即して考えてみたい。